ちょっと久しぶりに「石田衣良」さんの短編集
『てのひらの迷路/石田衣良著(講談社)』を読みました、またまたブックオフ価格108円。
今回は二年間に渡って二十編の“ショートショート”を連載で書いたものをまとめた本で、その二十編の短編それぞれに前書きが付いているという、ちょっとうれしい編集が成されています。
なぜ、ショートショートばかりの本になったのかというと、このブログでも以前書いたことのある「川端康成」の『掌の小説』という素晴らしい“切れ味抜群”の短編集に石田さんが影響を受け、書いてみようということになったものです。
石田さんの感覚って、いつも近いものを感じます。あの川端康成の短編集は、まさに珠玉の短編集です。いきなりうれしくなってしまいました。
しかも、私は探しているのですが、まだ出会えていない川端康成の『片腕』という小説があって・・・(これを知ったのはお笑い芸人“ピース”の読書家で有名な「又吉」さんが、自己の読書遍歴等を紹介するラジオ番組で紹介されてのことでした)・・・[男が女の腕を一晩借りて添い寝する]というファンタジーっぽいが、不穏な感じのする小説にも影響を受け、それへのオマージュとして、女の脚と添い寝する男、続編で男の左腕と添い寝する女の短編も登場するのです。
川端康成の「掌の小説」といい、「片腕」という“可笑しい”一編にも、津々の興味を持つ石田さん、石田衣良ファンの私としてはちょっと感激して“ニンマリ”です。
あまりにも奇妙なオマージュ・二作も力作となっていますが、他のショートショートも、実にタッチは軽いが、中身はぐぐっと深い、という、いい作品ばかりです。
「ぼくはどうせ書斎派なのだ。書くことと音楽と街歩き好き。結局、子どもの頃から、自分の好きなことだけして、わがままに生きてしまった。」と最後におっしゃっていますが、私もそんな感じの生き方に憧れます。
女性にも男性にもおすすめの、石田衣良さんが苦しみを感じつつも二年に渡って楽しく書き上げた短編集は、これまた私のお気に入りの一冊になりました(*^^*)
【Now Playing】 カヌー / Kenny James Trio ( Jazz )
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