「ベルサイユのばら」・・新境地
宝塚歌劇・宙組東京公演『ベルサイユのばら -オスカル編-』を見ました。
主演トップスターの凰稀かなめ(おうき・かなめ)さんは、今までとは異なる「ベルサイユのばら」を作りたいとインタビューで語っていましたが、そのとおりの素晴らしい舞台でした。
このブログでも何度か書いていますが、“ベルばら”が苦手…σ(^_^;)な私、あの“決まり切った”台詞や動作、妙な振付のダンスなど、見ているうちにどん引きになっている私がいままでの私でした。
今回、凰稀さんの“宙組ベルばら”は、どのシーンも今まで伝統として守り続けてきた「様式」を押さえつつ、でも全編・全シーンをもう一度自分達なりのものに演じ直した、という印象を強く持ちました。
それぞれの演者が、自分の言葉としての台詞で演じ、主演凰稀さんは、非常に魅力的なオスカルを創り出したと思います。オスカルの原型はこれなんじゃないか、と思えるくらい。
男としてのオスカル、女としてのオスカルの演じ分けも、しっくりといっていました。
今回は役替わりがありますが、私の見た日は、アンドレが緒月遠麻(おづき・とおま)さん、ジェローデルが朝夏まなと(あさか・まなと)さん、アランが七海ひろき(ななみ・ひろき)さんでした。
緒月さんのアンドレは心やさしく、健気なほどオスカルに思い入れが強く、その人間性まで表現できていたと思います。雪組時代の緒月さんもたいした役者でしたが、ここにきてまたひとつ演技に魅力を増したように思いました。
朝夏さんの、ジェローデルも人として立派な、そして愛することの尊さもよくわかっている人物像が描けていたと思います。気品あるジェローデル、見事でした。
七海ひろきさんのアランは、今まで演じられてきた“荒くれ者”的な部分は抑えめにして、自分の本当の気持ち、自らの周囲にいる兵士や市民への抑えきれない「愛」といっても良い感情を、情熱的というよりは、秘めたる“熱さ”で演じていたと思います。ご覧になった方で色々な意見はあると思いますが、私はこういうアランがあっても良いと感じました。
娘役トップの実咲凜音(みさき・りおん)さんのロザリーは、彼女独特の純粋さと健気で、しかも凜とした演じ方が舞台で花を咲かせていました。
オスカルが、薄れゆく意識の中で民衆の勝利の叫びを聞いている、それを抱き上げるようにするロザリーの表情、仕草・・あまりにも素晴らしく、唸りました。
今までにも書いたあの戦闘シーンのダンスの妙な感じも、この宙組では妙に感じませんでした。迫力があり、それぞれの気持ちが“乗って”いたからではないかと思います。
オスカルの乳母を演じた専科の市原けい(いちはら・けい)さんの、オスカルとの別れの場面も涙を誘いました。今までこんなことあったかな?と思いつつ涙が・・。
退団される愛花ちさき(あいはな・ちさき)さんと、すみれ乃麗(すみれの・れい)さんには、もうちょっといい役を、とも思いましたが、いつもどおりお二人らしい真面目できちんとした演技をされていました。
今回、私は「ベルサイユのばら」の良さがとても身に染みるように入ってきました。一幕終盤で早くも泣いてしまいました。宙組のベルばらがあまりにも良くて感動したからです。
まさか、ベルばらで泣くなんて予想だにしませんでした。
舞台の緊張感も最後まで張り詰めていて、オマケのショーについてもドキドキするくらいの良さでした。
いつもだったら、初心者にベルばらは絶対に見せないようにしますが、今回の「宙組・ベルサイユのばら」については、自信をもってご紹介したいと思いました。
宙組の皆さん素晴らしかったです(^-^)ありがとう!!
※追伸:今回の新人公演では私の応援している和希そら(かずき・そら)さんが主演・オスカルをつとめました。おめでとうございます。
ずっと応援し続けますよ'(*゚▽゚*)'
【Now Playing】 週刊「ほんなび」 / 内澤旬子 ( TBSラジオ )
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