「タカラジェンヌの別れの言葉」を読んで【2/4】
『タカラジェンヌ別れの言葉~退団挨拶から振り返る宝塚人生~/阿部彩子著(東京堂出版)』という本がとても良くて、それに触発されて4回に渡って本の中にあるエピソードと共に私の宝塚を去って行ったタカラジェンヌたちへの想い出なども書こうと思い立った今回、2回目の登場人物一人目は・・。
2012年退団の星組・白華れみ(しらはな・れみ)さん。
月組から花組に組替えがあり、その頃から新人公演に主演するなど娘役トップに向けて誰もが順風満帆に見えていたと思います。
ルックスも実力も、娘役主演には申し分ない、というのが大方の見方であったと思います。
そして、同期の夢咲ねね(ゆめさき・ねね)さんがトップ娘役二年目の星組に最後の組替えに・・。
ここからが白華さんの正念場となりました。
夢咲さんが二年くらいでトップを退き、白華さんと交代するのかな、などという観測がある中(事実、「リラの壁の囚人」では、当時二番手スターの凰稀かなめ(おうき・かなめ)さんと組み、薄幸のヒロインを演じて好評でした)、ロミオとジュリエットでは、同期夢咲さんがジュリエットを演じる中、その夢咲さんの乳母役が回ってきました。
細身の白華さんは、衣装の下に胴布団を巻き、夢咲さんを育て、支えていく乳母を演じました。
「メイちゃんの執事」では、意地悪で怖ろしい「ルチア様」、その後の「ダンサ・セレナータ」、「オーシャンズ11」、「愛と青春の旅立ち」では、女性の欲望や嫉妬やプライドなどが露わなドロドロとした役が回って来て、彼女のかすみ草のようなキャラクターから脱皮せざるをえなくなったのでした。
そして見事に脱皮しましたが、夢咲さんはトップスターとして柚希礼音(ゆずき・れおん)さんとの不動のトップコンビを盤石なものとしていました。
夢咲さんに意地悪したりする役は、白華さんにはどう感じていたのか、それを考えると何か胸の中に去来するものがあります。
結局、悪い言い方をすると、夢咲さんの“噛ませ犬”的な役割が多くて、私としては気の毒に感じたのですが、ご本人はきちっと割り切って全力で演技していたのでしょう、彼女のステージは素晴らしいものがありました。
可憐な、そして実力のある娘役であった白華れみさん、忘れることのできない娘役でした。
今回、もうひとりのジェンヌさんについても書こうと思っていたのですが、白華さんへの思いが強くて長文となってしまいました。
今回は、これにて。次は・・あの人かな(゚ー゚*)。oO
【Now Playing】 Red Garland Trio / C Jam Blues ( Jazz )
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