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2014/08/31

「タカラジェンヌの別れの言葉」を読んで【3/4】

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『タカラジェンヌ別れの言葉~退団挨拶から振り返る宝塚人生~/阿部彩子著(東京堂出版)』から受けた印象と共に私の退団されたタカラジェンヌへの想いを綴る第三弾、今回は樹里咲穂(じゅり・さきほ)さん。

私は、樹里さんが活躍されていた時代がちょうど宝塚から離れていたブランクの時期で現役当時を存知上げませんが、「JURIのそれってどうなの」というタカラジェンヌをゲストにトークを繰り広げる番組を後に見てその楽しく、天真爛漫なキャラクターに一発でファンになってしまいました。

樹里さんが一番活躍されていた時期は、「新専科制度」という各組二番手、三番手男役を組所属から専科に集めてしまって自由に色々な組に出演させる、という現在の私からみると理解不能な制度があった頃です。
そのあおりで、結局トップスターになれなかった主要男役のひとりが樹里さんだったようです。

私がDVDで見た宙組「ファントム」での樹里さん扮するキャリエール役は見事でした。
この本に書かれているエピソードでは銀橋で主演の和央ようか(わお・ようか)さんと You Are My Only を歌う場面で、「感動し、涙した観客の拍手が止まず、芝居が止まった」のだそうです。
そして、そのときに樹里さんは退団を決意したのだそうです。
それから一年後、退団の挨拶を終えた樹里さんは、再び鳴り止まない拍手の中にいた・・。いい話です。
この本によると、樹里さんはその事態に少し驚いたあと、照れたように微笑んでかわいらしいえくぼを見せてくれたのだそうです。
こんなエピソード満載のこの本、とても心温まる良書です。

次は、月組を1997年に退団されたトップスター「久世星佳(くぜ・せいか)」さん。
彼女は若手の頃から注目され、路線に乗っていたのですが、天海祐希(あまみ・ゆうき)さんが新人で入って来て、一年目でいきなり新人公演主演を取った頃から様相が変わってきました。
歌劇団が天海さんを特別な扱いでわずか7年目にトップスターにしてしまい、久世さんは4期も下級生の下でこつこつと「私でなければと思わせる俳優になろう」と心に決めて努力を続けていたのだそうです。

私が見た久世さんのその時代の演技は実に素晴らしかった。天海さんの誰にでももてるものではない「華」を生かした舞台とは別の、「演技」のうまさで十分観客を魅了していたのです。

結局、天海さんのあとの月組トップスターは、三代先まで天海さんよりも上級生が務めることになったのですが、苦しいことも多々あったであろうに、久世さんの淡々とした自然体のたたずまいは、この本にも書かれていますが、立派なものでした。

退団時に「人間ってすごくいいものなんだなと思えるようになった」、と幸せいっぱいの微笑みを浮かべて、そしてとめどなく涙を流していた久世さんも忘れられないタカラジェンヌでした。


【Now Playing】 日曜喫茶室 / 桂米助・山口真美他 ( NHK-FM )

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