「バタをひとさじ、玉子を3コ」石井好子さんのエッセイを読んだ
『バタをひとさじ、玉子を3コ/石井好子著(河出文庫)』を読みました。
著者、石井好子さんは1922年東京生まれ、米国留学を経てフランスに渡り、シャンソン歌手としてデビューされ、世界各国で舞台に上がり、帰国後は歌手のほかエッセイストとしても活躍。
2010年に亡くなられています。
私にはテレビ番組「料理の鉄人」で審査員をされていた姿が印象に残っています。
この石井さんの著書は、2011年に単行本として刊行されたものですが、それまで未収録であったものを集めて一冊にまとめられたもののようです。
石井さんと言えば「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」というエッセイが有名だと思いますが、この本の冒頭でも「オムレツとかつお節」というタイトルのエッセイがあり、これがまた名文!
義父と数日過ごされた石井さんが「朝食の玉子は何にしましょう?」と尋ねると「かつお節入りのオムレツを作ってほしい」とのリクエストがあったお話でした。
かつお節を玉子にまぜ、塩・こしょうではなくて、薄口醤油で味をつけて焼いたものだそうです。
これが炊きたての白いごはんにとてもよくあう、と書かれていて、もう始まったばかりなのによだれが出てきそう(#^.^#)・・先が楽しみになりました。
また、音楽会で歌い、帰宅するとお腹がすいている石井さん。
ひとり台所に入り、夜食をつくるくだりもありました。
ベルミッセル(細いパスタか?)がわりにそうめんを茹で、油またはバターでいためながらパセリをパラパラと混ぜ込む・・(゚ー゚*)。oOすでにおいしそう!
塩、こしょうで味をつけてチーズの粉をかければ「バジリコ・ベルミッセル」の日本版である・・と軽快な文体で書かれていました。
まさに流れるような文章で、私も見習いたい(^-^)
ここでは、「クロックムッシュ」の作り方についてもふれていて、食パンにチーズとハムをはさんで、フライパンでたっぷりバタ(石井さんはバターとは書かない)を溶かして両面きつね色にこんがりと焼く・・などと書いてあって、私も夜食が食べたくなりました(#^.^#)
とにかく、どのページを見てもちょっとした“コツ”で、簡単につくったものが素敵に美味しいものになってしまう魔法のようなレシピが軽妙・軽快な文体で綴られているのです。
後半などは、どんどんとレシピの洪水のように、“目からウロコ”のメニューが並びます。
そして、フランス生活が長かった石井さん、「好みのチーズを皿にたっぷりとって、外側がかりっと固く、中は柔らかいフランスパンを食べながら赤いワインを飲む。これこそが最高の味である。」という一文もありました。
そうですね、それが庶民の「幸せのひとつの形」かもしれません。
読んでいると、どんどん腹ぺこになる石井好子さんのエッセイ集「バタをひとさじ、玉子を3コ」のご紹介でした。
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