「1%の力」を読んだ
『1%の力/鎌田實著(河出書房新社)』を読みました。
先週土曜日のTBSラジオ・永六輔さんの番組に著者の鎌田先生が出演され、この本の紹介をされていて、読んでみたくなったのです。
鎌田先生の著書には、「がんばらない」という有名なものもありますし、日曜日にはラジオの文化放送で「日曜はがんばらない」という番組もお持ちです。
“がんばらない”を掲げている先生は、実は“がんばらない”の普及のために“がんばって”いるのです(*^^*)
この本には、末期癌の方と先生や家族、周囲の方々との最後の素晴らしい交流する姿や、「1%の力」を誰かのためにささげて生きる姿が描かれていました。
ただ、私にはまだまだ人としての修行が足りないせいか、そのご本人の気持ちに入れ込み過ぎるのか、こちらの心があたたまる前に、辛い気持ちが先立ってしまいました。
だから読んでいてちょっと“辛い感じ”もありました。
きっと、もう少し歳月を経れば、この本から受ける印象も変わってくるのかもしれません。
読んでいて心に残ったことを少し書き出してみます。
「絶望の中にいるとき、1%だけ心の目をずらすのはいいことだ」という言葉でした。
空の美しさや、静かな雨音に心を寄り添わせるだけで何かが変わり始める、とおっしゃっていて、心の目をほんの少しずらしてみると、人生が変わる、というのです。
・・私にもちょっと思い当たることが過去にもありました。
でも、その境地に至るには、なかなか難しいものがあると思います。
さらに、現在のコンピューターや携帯電話等の道具に自分がならないようにせねば、ということも書かれていました。
そうですねぇ・・(^^;)自分達でつくった道具の道具になりつつあるのが現代人かもしれません。
「道具に落ちぶれず、誰かのために生きようとしている人間らしさが魅力となる」という言葉は重いのですが、次々と開発される文明の利器に、どっぷりと浸かってしまった現代の日本人、どうなっていくのだろうと思いました。
話は大きくビッグバン後の地球の話にも及び、生命の誕生から、その命のつながり、やがて「性」ができて(オスとメスです)、「命」に“華やぎ”ができたとおっしゃっています。この“命の華やぎ”という考えは、とてもいいと思いました。それこそが人の「愛」や「恋」の始まりです。
そして、その生命の誕生のあとには、「死」という現実がある・・二つの性の出会いが喜び、安心、未来、さらには裏切りや悲しみ、寂しさも生み出します。
とても心に残る部分でした。
終盤では、自分が死ぬことによって命の循環があり、若返りが行われ、自分を支えてくれている原子がまたこの宇宙の中で何かのかたちで利用されていく、・・どんな「死」にも意味があり、「死」が何かの役に立っている、と結んでいます。
そう思えるようになると、ある程度「死」は怖くなくなるような気もします。
読んでいて、なかなか入ってこない部分もありましたが、上記のような“目からウロコ”の考え方、言葉もありました。
まずは、日曜の朝、鎌田先生の「日曜はがんばらない」をまた聞いて、先生の口から直接発せられる言葉に、また耳を傾けてみようと思います。
【Now Playing】 Night And Day / Sonny Criss ( Jazz )
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