続いて読んだ「赤瀬川原平」さん関係の本
前回のブログ掲載に続いて、今度は『路上観察学入門/赤瀬川原平・藤森照信・南伸坊編(ちくま文庫)』を読みましたので、その読後感を。
赤瀬川さんが前回ご紹介した「超芸術トマソン」に関わっていた頃、建築物やマンホール、貼り紙、建物のカケラなどについて町を歩いて探し回っている人達がいる・・というのは薄々わかっていました。
それらいわゆる“路上観察”的な活動についてこの本ではまとめられています。
考現学の定義から始まり、「路上観察」とは何か、“路上の正しい歩き方”(^_^;)、今まさに取り壊されようという貴重な建築物のカケラをどうやって拾う(いただく)か、街にトマソンを追って出掛けると実際はこうなる・・。
さらに、トマソン発見当初の功労者(功労町?(^^;))、麻布谷町の観察日記、女子高生制服ウォッチング(文中にあるが、これは痴漢と勘違いされることもあり、とても観察が難しそうだった)、建築探偵団の活動、はては博物学までお話は拡大します。
実際に観察した時の様子が書かれていて、認知度も低い学問・芸術であるがゆえに、その苦労はかなりのものであったことがわかりました。
当時はデジカメも無いので、ケチらず何枚も撮る必要があると文中でアドバイスが入っていましたが、それについても大変だったと思います。
今であれば、観察したその場でスマートフォンを使って報告、なんてこともあったのであろうと思いますが、でもそれだと・・やはり当時のような盛り上がりはなかっただろうな、と思いました。
特にトマソンに関してはなぜかアナログチックな手法と論法がふさわしい、などと私は勝手に思っています。
竹で囲われた“純粋階段”など、トマソンにはある種の“風情”が感じられた方が超芸術にふさわしいなどと思うのです。
実際に本の中でもそういう部分にふれられている部分もありました。
単純に無用の長物が大切にされている“トマソン”を発見して喜ぶばかりでなく、その物体周辺の雰囲気や、たたずまいなどがよりいっそうトマソンを風雅なものにしてくれるように思います(*^_^*)
路上観察という不思議な世界に足を踏み入れた藤森照信さん、南伸坊さん、林丈二さん、一木努さん、飯村昭彦さん、森伸之さん、荒俣宏さん、杉浦日向子さんらの興味深くて面白いお話やイラスト、・・好きな人には楽しめる本です。
トマソンの写真も数多く紹介されています。
千葉市美術館に『赤瀬川原平の芸術論展』を見に行かれる前に、その街に繰り出しての赤瀬川さん達の活動の模様などを知っておいても楽しく鑑賞できそうです。
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