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2014/11/30

川端康成の奇怪な物語

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『眠れる美女/川端康成著(新潮文庫)』を読みました。
「眠れる美女」「片腕」「散りぬるを」の三編の小説で編まれています。

以前、お笑いのピース・又吉さんが、「川端康成の書いたもので、男に一夜だけ自分の腕を貸す女の話がある」とラジオで紹介されたことがあって、本屋に入る度にそれを探していたのですが、遂に見つけましたd(^_^o)
二編目の「片腕」がそれでした。

で、一編目の「眠れる美女」から読み始めたのですが、これも奇怪なお話でした。
波音高い海辺の宿に、“すでに男ではなくなった”老人を逸楽の世界にいざなう宿がある・・、そこには一晩目覚めない若い裸形の女が添い寝している・・という不思議な物語。
主人公の老人は、“まだ男である”らしいのですが、そうでないと想定されてこの宿を紹介されます。
あとはもう、若い女が隣で寝ている状態で部屋の鍵を掛け、朝まで過す様子を川端の息を潜めたような精緻な文が紡がれて行くのです。

デカダンス文学の名作と言われた作品らしいのですが、もう最初から読んでいるこちらは、この状況を把握するのに困惑し、我が事のようにうろたえてしまいました。

結局、主人公は三度その館に出向くのですが、それぞれの夜に異なる女が寝ていました。最後には添い寝する若い女は二人になっていました。

となりに若い裸の女が全く目覚めること無く寝入っていて、その様子が書かれているだけなのに、五感が研ぎ澄まされるような川端の文は冴え渡り、最後まで不思議な感覚と、興奮に包み込まれました。
初っ端の作品から驚き入りました。

そして、「片腕」。
又吉さんが言っていたように娘が男に一晩自分の腕を外して貸す!?わけです。
大事にコートの下に隠して自宅に持ち帰った男が、その腕と会話し、眺め、挙げ句に自分の右腕と交換してみる・・という、文学でなければ出来ないような作品。
映像にしてしまうと、個々の読者が想像するたぶん全く異なる世界が損なわれてしまうような気がして、文学ならではの醍醐味を脳内で味わう、そんな物語でした。それにしても、いやはや奇想天外な世界でした。

ラスト、「散りぬるを」は、ひょっとして川端自身が登場してくる主人公の作家かと思われるようなお話。
家を出て、とある作家のところに身を寄せた女性二人。
娘一人のときには同居させ、面倒をみていたが、二人となり、作家は家を借り、二人を生活させていた。
そこに今まで娘達とちょっとした知り合いなっていた男がいたが、どこで働いても面倒を起こし失職、荷物を持ってあちこちふらふらとしていたが、たまたま娘達を驚かそうと夜に侵入。
あとはその男のあやふやな記憶と警察の調書、裁判の予審終結決定書などから男が二人の女性を殺害するに及ぶ経過を主人公の作家が小説にしていく・・という、これまた奇妙なお話。
蚊帳を吊って寝ていた娘二人を包丁で刺し、そして絞殺した陰惨な話で、おどろおどろした文になるのかと思うと、主人公の作家は、娘らの家族が到着する前にあっさりと骨にしてしまったり、カラカラ、さらさらと物語は進んで行きます。
その作家の心の中にある事件の風景と、自身の心の風景がスライド写真のように流れていく様子はこれまた摩訶不思議。
三作とも風合いの異なる川端文学の世界、暗い部屋でひっそりと味わいました。


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