宝塚歌劇・宙組東京公演『白夜の誓い -グスタフⅢ世、誇り高き王の戦い-(ミュージカル) /PHOENIX宝塚!! -蘇る愛-(グランド・ショー)』を観てまいりました。
表題の宝塚・宙組公演を見ましたので、観劇記を。
今回の公演は、男役トップスター凰稀かなめ(おうき・かなめ)さんのサヨナラ公演です。
18世紀、スウェーデンに絢爛たるロココ文化を花開かせた国王グスタフⅢ世の激動の生涯を描いています。もちろんグスタフⅢ世役は凰稀さん。
凰稀さんのグスタフが国王になる前、パリ遊学中に国王が亡くなります。
そのときに、凰稀さんにはエグモント伯爵の未亡人イザベル(役:怜美うらら/れいみ・うらら)という聡明な女性が大きな存在となっていて、要するに愛し合っていたのです。
で、国王の訃報を受け、スウェーデンに戻ると悪臣クランツ(役:寿つかさ/ことぶき・つかさ)が圧政を敷き、凰稀さんの身分をも剥奪しようと悪巧み・・。
しかも、ロシアの息が掛ったデンマークの王女ソフィア(役:実咲凜音/みさき・りおん)と無理矢理結婚させる算段が仕掛けられていて、それに応じざるを得ない状態の凰稀さん。
凰稀さんが実咲さんのデンマーク王女ソフィアにこの結婚を望んでいるのかと問うと、「もちろん望んでいない、国のため」だとの返事・・(T_T)。
・・これで凰稀さんと実咲さんのトップコンビで“ラブラブ”なお二人というのは、せいぜい全国ツアーの「うたかたの恋」くらいなもので、またも本公演ではトップ同士の愛のシーンは見ることが出来なくなったわけです。
それがつくづく残念です。
物語は、凰稀さんの美学というか、作者の美学なのかわかりませんが、自らの信じる争いの無い、血を見ることのない国に向けての理想に向かって突き進む展開となり、まさに“孤高の人”という感じでした。それが気高く、品が有り、クールな凰稀さんにピッタリとくるので、物語としては素直な宝塚らしいものになりました。
また、実咲さん扮する妃ソフィアは、その凰稀さんの姿にやがて惹かれていき、ロシアとの戦を選んだ凰稀さんの身を案じて祈りの日々を送ります。それを知ることになった凰稀さんも実咲ソフィアを憎からず思うことになるのですが、それでもフランスで生活することが政情から困難となったかつての愛する人イザベルを凰稀国王はスウェーデンに呼び寄せ、こともあろうに、妃である実咲さんに「今までで一番愛した人」だと紹介するのです。
心澄み渡る実咲さんは、怜美イザベルと会い、「凰稀国王が愛しただけあって美しい人・・」と手を取るのです。
サヨナラ公演でこんなんありかっ!!(T_T)
凰稀さんの宝塚同期の緒月遠麻(おづき・とおま)さんとの軍の扱いについての“諍い”から、物語は悲劇に突き進むのですが、まあなんとも・・凰稀美学が貫き通された、クールで美しいミュージカルでした。
もちろん、次期トップの朝夏まなと(あさか・まなと)さんも、自分の身内の安泰と引き替えに凰稀さんを陥れるようなことをして、でもそれを知った凰稀さんからもう一度命を与えられたように手厚い処遇を受けて改心する・・という難役をうまくこなして実力どおりのものを発揮していました。
全体には、とても良い作品でしたが、それでも実咲さんはとうとう凰稀さんとの“いいシーン”なくしてコンビが終焉を迎えてしまって・・それが何だか心の中に妙に残ってしまったのでした。
そして、ショーの方は、宙組らしい綺麗で、迫力ある、スケールの大きなショーになっていました。
凰稀さんの早替わりなど、観客を楽しませるようなシーンもあったし、ちょっと中性的な魅力もある凰稀さんを意識させるような衣装でのシーンも良かったし、大空祐飛(おおぞら・ゆうひ)さんがトップの時代から、宙組のショーは汗臭くないが、まるで体育会系のように圧力あるショーを見せてくれて、今回もインパクトある華麗で圧倒的なショーでした。
余談ですが、私のイチ押し、和希そら(かずき・そら)さんが、ついに本公演の銀橋で七海ひろき(ななみ・ひろき)さんや、愛月ひかる(あいづき・ひかる)さんらと共に男役五人で歌い踊ってくれました。・・それを見て・・泣いてしまった(T_T)、がんばってたぞ、それに堂々として観客へのアピールも抜群だった。
さらにフィナーレでは、大階段を桜木みなと(さくらぎ・みなと)さん、怜美うららさんと共に三人で歌いながら降りてきてくれました。
そらさん、素晴らしいっ!!今回セリフのキレも良かったし、これからも応援しますよっ!'(*゚▽゚*)'
今回の宙組公演については、まだ観劇予定がありますので、個々の組子達の様子や、各シーンなどについても書ければと思っています。
とりあえず緊急報告はここまで、読んでいただいた方、ありがとうございました。
【Now Playing】 浮き雲と三輪車 / Tico Moon ( Instrumental Music )
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