ピース・又吉さんの「火花」を読みました
文芸雑誌「文学界」に掲載され、話題を呼んだお笑いのピース・又吉直樹さん著作の「火花」を読んでみました。
文芸誌の「文学界」自体が1万冊売れるとたいへんなヒットらしいのですが、今回は又吉さんの力作が読めるということで増刷を重ね、何と4万部を売った(・・まだ売っている最中・・(#^.^#))とのこと。すごい。
実際に読み始めて、芸能人の著作という意識はすぐに消えました。純粋に小説を楽しむことができます。いつもの読書と全く変わらず。
以前から、又吉さんの本に関するラジオ番組を聞いたり、又吉さんの本に関する著作も読み親しんでいましたので、素直な気持ちで読みましたよ。
なかなか売れない漫才コンビの一人が、別の年長の漫才コンビの一人と花火大会の中での営業中に知り合うところから物語りが始まります。
主人公・徳永は、その花火大会で知り合った、漫才業界では先輩格の神谷さんの笑いに対する“尖った”思想というか、「漫才感」に心奪われ、いきなり弟子にしてください、とお願い、即座に了承されて、当初は関西と関東に分かれてはいるものの、メールや電話などで師弟関係を徐々にというか、奇妙に築き上げていきます。
やがて、その師匠は関西では“にっちもさっちも”いかず、東京に出て来て、二人の関係は互いに相方というものが存在するものの、どんどん「密」な、そして「濃厚」な関係に進展していきます。
公園のベンチで二人が語っていると、そこに泣いている赤ちゃんとお母さんがいて、それをあやすのに、赤ちゃんに対して“ネタ”を次から次へと繰り出して無反応・・そんな変な状況をつくりだす先輩・師匠にもあれこれ言いながらついて行く主人公・徳永。
二人の関係、そして「笑い」に対する感じ方、考え方は、同じ漫才の世界に過す仲間や後輩とも世界観が異なり、どんどん特殊化・異端化する師匠と、そこまで突き詰められず、ある程度の妥協により、何とか食っていくことだけは出来るようになる主人公。
先輩の彼女と互いの相方も加わって、人生の悲哀、そして「漫才」「笑い」というものを少年時代から仕事にしたいと考えてはいたものの、その「笑い」が永久の課題となり、“謎”となり、“足かせ”となり、人生の底に落ちていく二人。その落ち方も二人それぞれに違う世界へ・・。
おもしろかったです。正直な感想。
芸能人の著作という意識はすぐに消えた、と書きましたが、又吉さん独自の笑いに対する考え方の表現は独特のもの。
頭の中でその独特な表現をぐるぐると回転させながら私も考え、又吉さんの意識の時空をさまようように浮遊し、楽しむこともできました。
又吉ファンでなくとも、楽しめる小説であると感じました。
あとは“好き嫌い”だけですね(*^^*)
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