宝塚歌劇・宙組東京公演『白夜の誓い/PHOENIX宝塚』、トップスター・凰稀かなめ(おうき・かなめ)さんのサヨナラ公演の見納めに行ってまいりました。
今回の席は何故か“おばちゃん団体旅行”集団席の“まっただ中”( ̄O ̄;)
なんでこんなことになったのか、観劇記のあと、ちょっとそれについてもふれてみますf(^^;
前回の観劇記にも書きましたが、千秋楽も近づき、ますます進化している様子が感じられました。
凰稀さんは、まさに“孤高のトップスター”という感じ。
どんどん突き詰めて自らのトップとしての理想に近づこうという“追い求める”気持ちを強く感じました。
娘役トップの実咲凜音(みさき・りおん)さんは、前回は凰稀さんの求める姿に近づこうと、非常に緊張感のある演技を見せていましたが、今回はそれをさらに乗り越えて、落ち着いて静かに、そして内に秘めたものを演技として表現されていて、気の毒になるくらいの追い詰めたものを感じました。一見して、“やつれた”ように思いましたし、まだ一週間以上あるこの公演を何とか乗り切ってもらいたいと思います。
それにしても、さすが若くしてトップ娘役を張っているだけのことはあると、その気力・迫力に驚きました。
また、次期トップスターに決定し、引き続き娘役トップを務める実咲さんと新トップコンビを組む朝夏まなと(あさか・まなと)さんも、いったんは凰稀さん演じる国王グスタフを裏切るような行為をしながらも悩み苦しみ、婚約者からの愛を感じ、やがて改心し、グスタフ国王のために尽力するリリホルンの姿をうまく描いていました。
凰稀・グスタフの面倒を幼い頃から見て、育てあげ、グスタフが国王となってからも陰ながら支えるテッシン伯爵を演じた専科の汝鳥伶(なとり・れい)さんの名演技も光りました。
そのほか宙組の皆さんの充実ぶりはさすがと思わせるものがありました。
大空祐飛(おおぞら・ゆうひ)さんがトップになった頃から、この公演中の進化ぶりというものが組の特徴と言えるものになったかもしれません。
ショーでは、実咲さんも少し肩の力が抜けている様子がうかがわれ、組全体としても“楽しませる”ショーに心がけ、しかも圧倒的な勢いを感じさせてくれ、大満足の出来でした。
特に朝夏さんのスケールは大きいけれど、とても“やわらかく、やさしい”印象を受けるダンスは、次回からコンビを組む実咲さんの俊敏だけれどもそれぞれの動きのフィニッシュがやわらかくきれいなダンスとはピッタリのように感じました。
また、歌についても、ソフトな印象の朝夏さんと実咲さんのきれいな歌声はマッチするように思います。とても楽しみです。
今回の公演で退団される組子には、千葉県松戸市出身の風羽玲亜(かざはね・れいあ)さんがいるのですが、ショーでは、風羽さんが銀橋(客席前の華やかなエプロンステージ)で歌い、ステージに戻ってからも歌い上げるシーンがありました。
それをわかっている観客も風羽さんが歌い始めると大拍手!!'(*゚▽゚*)'
昨年100周年を経た宝塚、歌劇団側の粋なはからいと、あたたかく送り出す観客の様子にうれしさがこみ上げました。
そして、・・今回のおばちゃん団体席の私…σ(^_^;)
おばちゃんたちは、開演前に話を聞いていると(すごくでかい声)、初めての宝塚観劇のようでした。
第一部のミュージカル、ラスト舞踏会のシーン。
凰稀グスタフ国王の願い、オペラハウスが完成し、武力を前面に出すのではなく、国民の生命を大切に、そして文化の華を咲かせようとするその祝宴シーンの真っ最中に凰稀さんの同期であり、今回一緒に退団される緒月遠麻(おづき・とおま)さん演じるアンカーストレムが現われ、いきなり凰稀さんを射殺!! (・_・;
そのとき、「まあきれいだとこ」と、とうっとり舞踏会を見ていたおばちゃん軍団の驚き!といったらありませんでした。
「ああっ」と一斉に声が上がりました。
あまりのことにおばちゃんたちはその後、茫然。
静かに崩れ落ち、駆け寄る王妃の実咲ソフィア。凰稀さんは幼い頃からの友だちの緒月さんが小さい頃に木を削って作ってくれた「伝説の剣」を懐から出し、ただ一人の親友だった、今もその心は変わらない・・(T_T)と、うしろから抱える実咲さんの涙と共に絶命・・。
私の左後ろ席のおばちゃんは、「あぁ・・私、私泣く、泣くよ」と周りのおばちゃん仲間に宣言してから前につっぷして泣き出したようです。
さらに第二部、ショーのラスト、トップコンビのデュエットダンスでは、実咲さんが素晴らしい笑顔で凰稀さんと見つめ合い、その直後強烈な凰稀さんから実咲さんへのキッス!'(*゚▽゚*)'・・前回、前々回見たときよりも、より愛溢れるものに感じました・・ちょっと長くなりましたし(#^.^#)。
フィナーレのパレードが始まり、お客さんのあまりにも大きな感動の拍手に、銀橋でお客様への挨拶を終え本舞台に戻ってきた朝夏さんも客席に振り向くときにはすごい勢いでターンし、背負っている大きな羽がギュンッとなびき、それを見た実咲さんも同じく勢いよくターンし、同じく羽がビュンッとなびきました。気合い入ってましたぁ~(*゚▽゚)ノ
で、私の左うしろのおばちゃんの生命反応が感じられなくなっていることに気付いたのですが、幕が降り、客電が点き、うしろを振り返ると、声も出なくなり、ふるえながら泣いているおばちゃんがおりました(*^_^*)
お友達のおばちゃんたちが背中をさすり、「あんた、何そんなに泣いてんの」と笑っていましたが、私は泣いているおばちゃんの初観劇の感動具合に感動してしまいました(T_T)
「素晴らしい初観劇になりましたね」と、声を掛けたくなったのですが、心の中で前のめりになり泣いているそのおばちゃんの背中に語りかけました。
おばちゃん軍団の中に入り、一時はどうなることかと思いましたが、なんだか良いものを見た、そんな気持ちで劇場を後にしたのでした。
【Now Playing】 オトナのJAZZ TIME / 島崎保彦・阿里耶 ( ラジオ日本 )
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