「ザ・ビートルズ レット・イット・ビー」という本を読みました
『ザ・ビートルズ レット・イット・ビー/スティーヴ・マッテオ著:石崎一樹訳(水声社)』を読みました。
これはビートルズが最後に発売(制作ではない)したアルバム「レット・イット・ビー」が、どういう経緯で作られることになったのか、また彼等の自作曲だけでなく多くのオールディーズなども演奏、録音されたいわゆる「ゲット・バック・セッション」での演奏曲についても、資料、証言などから追いかけている本です。
私が生まれて初めて自分のこづかいで買ったアルバム(LPレコード)は、このレット・イット・ビーでした。すでにビートルズは解散していて、ビートルズが最後に世に出したアルバムからビートルズを逆に追いかけることになったのです。
ほとんどビートルズについて知識のない当時の私がレコードを聞き、第一印象で感じたことは、曲間に彼等の会話などが入っていて「自由だなあ」ということでした。
その後何年かして同名の映画も見たのですが、だらだらとリハーサルをして、ろくに完成させる様子なども無く、クライマックスのアップルビル屋上でのライブ以外は四人の雰囲気も微妙で・・なぜこんな不思議なフィルムを撮影したのか、という思いがありました。
で、この本を読んでみると、もともとはヘイ・ジュードのプロモーション・フィルムを作成したときに、多くのファンと共に演奏した(今もあのフィルムは見ることが出来ます)ライブに近い状態に、1966年のアメリカ・ツアー以来ライブから遠ざかっていた四人の気持ちが少し昂揚したようです。
そして、割と少人数の前でのライブを前提にリハーサルをして、ライブの中継時にはそのリハーサルの模様も編集して流そうというのがそもそものきっかけだったことがわかりました。
その後は、ライブをどこでどんな形でやるかなど、どんどん迷走し、あの映画前半のフィルムスタジオでのリハーサル自体が何のためにやっているのかまでよくわからない状態になっていったようです。
ただ、ジョンのその後のインタビューなどでは、そのリハーサルが非常に辛くひどいものだったようなことも言われているにもかかわらず、当時の関係者の証言では、映画のような険悪な場面ばかりではなく、むしろ和気あいあいとして四人がけっこう楽しんでいた、という様子も披露されていて、ますます謎が深まるばかりです。
今回、この本を読みつつ、1970年発売のオリジナル・アルバム「 Let It Be 」と、2003年にリリースされた、フィル・スペクターの施したオーケストラのオーバー・ダビングと、ウォール・オブ・サウンドと呼ばれた強烈エコーを排除した本来の“ライブ一発録り”的な「 Let It Be Naked 」を聞き直してみました。
私がオリジナルの「 Let It Be 」のアナログレコードを購入した時に付いてきた東芝音楽工業のブックレットには、「全体に散漫な印象」と書かれていて、「自分で売っておいてそんなこと書くなよ」と思ったものですが、もちろん“散漫”ではなく、今も私にとっては良いアルバムです。アルバムとしてビートルズからの洗礼第一号だったのですから思い入れもたっぷりです。第一いい曲ばかりだ。
それから後発の“ネイキッド”は、すぐそこでポールやジョン、ジョージが歌っているかのような臨場感ある音にあらためて驚きます。楽器の音についても同様。
本来の目的であった、加工されていないビートルズの一発録りアルバムにすべきだったのにいくつかのテイクが編集されている・・とお怒りの向きもありましたが、私からすると「いまさらそんな失敗テイクそのままなものを作って何がいいんだろう」と思います。ま、人それぞれですけど。
ただ残念なのは、どの曲もエンディングの後の急激な音の絞り方が妙に不自然で、ちょっとそこで醒めてしまうということもあるのですが。
この本の日本発行は2013年ですが、オリジナルは10数年以上前で、本文中に2004年には映画「 Let It Be 」のDVDがリリースされる予定と書かれてあって、当時はかなり作業が進んでいたことが推測されます。
それを当て込んでのものだったのかもしれませんが、2015年2月の現在に至るも実現されていません。
出来れば、ここ数年の内にぜひリリースを!と願っているのですが・・。そこにはこの本で証言されている「“明るい”レット・イット・ビー」バージョンも「Disc2」として編集し直して入っていると、ファンとしてはたいへんうれしい!!(*^^*)
ゲット・バック・セッションと呼ばれていた最終的に「 Let It Be 」というアルバムになり、またアルバム「アビー・ロード」のリハーサルともなった一連のセッションは多くの海賊盤も生み、当時のマニアには懐かしい思い出もあるかもしれません。
そんな様々なファンの思いも込め、もう45年も経ったのです、しがらみ抜きに何とか映画のDVDまたはブルーレイ、急げないでしょうかね(#^.^#)、下手すると私の寿命でさえ危うくなってきたので、関係者の皆様、よろしくお願いいたします<(_ _)>
【Now Playing】 Free As A Bird / The Beatles ( Rock )
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