「テレビの日本語」を読んだ
『テレビの日本語/加藤昌男著(岩波新書)』を読みました。
「なぜ饒舌なメディアになったのか?」
「ニュースのことばに焦点をあてて検証する。」
と“腰巻き”に書かれていて、割とくだけた内容なのかと思いつつ読み始めたのですが、著者は元NHKアナウンサーで、NHK放送研修センターなどで後進の指導をされていた重鎮でテレビニュース・アナウンスの草分け的存在、テレビニュースの草創期からの苦労や工夫について真面目に“きちん”と書かれていて、こっちも居住まいを正して読んでしまいました。
最近の日本語の乱れはテレビにも当然及んでいて、テレビという地域的にも、年齢的にも広範囲なメディアであるだけにその影響力は絶大。なので「アナウンサーの語る言葉」が“最後の砦”であるというような話になってくるわけです。
最初の頃は「読む」から「話す」への言葉の変化がニュースにあらわれて、次には「キャスター」というものが主流になり、見せる演出が加わってくるにつれ、読み原稿の文体が変わってきた・・というようなことを中心に前半は書かれていました。
そして大震災や、原発事故騒動、近年の選挙報道、など大きなことがあるたびに新たな報道・ニュースの形態が現われ、またその中で日本語の使い方としておかしいのではないか、という著者の気づきや、報道の言葉としての道筋が立てられてきた過程などにもふれています。
あの局のあの人がこんなこと言ってた・・みたいな本を想像していたのですが、非常にシリアスな内容でした。
今やテレビ以外のメディアでニュースにふれる機会が多くなり、SNSの中での伝わり方なども独特のものが出て来たと思いますし、テレビニュースそのものが大きく変化していくのかもしれません。
私も時々、この表現はおかしいのではないか、と思うことがあります。
著者も書かれていますが、震災などの大災害時の報道で、「〇〇地区の被害状況を“ご覧いただきましょう”」とか、「亡くなった方のお名前を“ご紹介します”」っていうのも、聞いた瞬間にあれ?何かおかしい・・と感じるのです。
特に被災者への取材時の言葉が変だということがいくつもの例を挙げて書かれていて、著者への営業妨害になってしまうので、この一番肝心な部分は引用いたしませんが、読んでいて何度もうなづいてしまったのです。
私も、このブログでいろいろな書き方をして、過去のものを見ると「これはいかん」と思うようなものが多々あります、そして今も時々・・( ̄O ̄;)
「言葉」を大切に、これからも書いていこうと思います。
そして、テレビ、ラジオなどの報道で使われている言葉にも敏感でいたいと思います。
【Now Playing】 K's TRANSMISSION / 坂崎幸之助 ( NACK5-FM )
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