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2015/05/03

あらためて「田中角栄」について読んでみた

20150503_kakuei_tanaka01

本屋でたまたま見つけた『田中角栄/早野透著(中公新書)』という本を読みました。
田中角栄元首相は、現役の時代もその後も、そしてロッキード事件、公判、判決以後もマスコミ、国民の関心を引いた人でした。
娘の眞紀子さんもいろいろな面で注目を浴びました。

著者の早野さんは角栄全盛期からその衰退期まで朝日新聞の記者としてまさにすぐ傍で、氏の動向、息づかいまで感じ取っていた人であることがこの本を読んでわかりました。

角栄氏は新潟の貧しい農家に生まれ、成績は優秀であったのですが、進学することもままならず母を助けるため、まさに必死に働き、その間勉学にも励み、そんな若き時代にも“艱難辛苦”の連続で、普通の人間ならとうに挫折してしまうであろうに、不屈の精神力と体力で乗り越えてきたことがわかりました。

そして、俗に言っていた「表日本」と「裏日本」を交通網を整備し、工業などを中心に呼び込み、差別のない就業の機会を得ようと、ありとあらゆることをして、そして様々な人や企業との関係をうまく立ち回りながら保ち、驚きの勢いで政界に進出します。
それでも最初の選挙では落選していました。

この本では、角栄氏のそんな生き方をしていた頃の日本の首相、政治の状況もつぶさに書き記していて、戦後日本の政治を微に入り細をうがつように一般にはあまり知られぬ事実が書かれているのです。
佐藤首相の沖縄返還時の米国との密約書(二十一世紀に入り、首相官邸の奥底にあると言われたが、佐藤氏死後自宅で見つかる)の存在と、それが作成された経緯などについても臨場感ある筆致で書かれていました。
まさに、田中角栄氏の生涯と共に日本の戦後政治を振り返る、内容の重い本でした。

“待ちの政治”と言われた佐藤首相を支えた角栄氏ですが、その佐藤首相とは異なり、決断も早く、次から次へと手を打つ氏の様子は驚くべきものがありました。
また、佐藤首相に対してもそうですが、人の“懐”に入るのが早い。
一人の人間の人生の読物としても類を見ない貴重な経験が書かれていて、ぐいぐいと引き込まれました。

郵政大臣時代にも、3~4年以上も塩漬けにされていたテレビ局の開局申請を次から次へと許可し、テレビ全盛時代が来ることを見越して積極的な手を打った姿も見られました。役人が尻込みしていることにも、どんどん先見性を発揮して大股で歩を進めた様子には、ただの強気な政治家ではないことがわかりました。

首相在任中の中国との国交成立時、中国に渡り、周恩来首相との“ガチ”のやり合いの様子には、今も昔もこんな丁々発止のせめぎ合いが出来る人はいたかな?などと感じて驚きました。まったく知らなかった会話にたいへん驚きました。それは毛沢東に対してもでした。

米国からの圧力に対しても、わざわざ訪れたキッシンジャーに対して、日本の利益が最終的な目標だと一歩も引かない様子が書かれていて、私が知らなかった様々な事実を知っただけで、この本は単に「今太閤」ともてはやされた時期や、その後の逮捕劇後の手のひらを返したようなバッシングなどを書いたような軽いものではない、とさらに目を皿のようにして読み進みました。

そして、感じたことのもうひとつ。
著者は、記者としての厳しい目を持ちつつ、田中角栄氏の“人”に惹かれていたんじゃないかな・・ということです。氏の人としての魅力には、ジャーナリストとしての対峙の仕方があったものの、抗しがたいものが存在したんだろうな・・と感じました。

有罪判決後の、角栄氏を襲うさまざまなキツく、辛い出来事、そして死・・。
ものすごく大きくて重い、そして大河のような(しかも急流)歴史を感じ、角栄氏に対する一般的な見方ばかりの知識が覆されたような気がしました。
400ページに渡る長編でしたが、ドキドキしながら読み進むことができました。
東京勤務時代に事務所のあるビルのすぐ近くに、田中事務所が入っていた「砂防会館」がありました。あそこが歴史の大舞台だったことがあるのだなぁ、としみじみ思っているところです。


【Now Playing】 カヴァティーナ / 垂石雅俊 ( InstrumentalMusic )

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