小沢昭一さんの「昭和の流行歌」の本を読んだ
『流行歌・昭和のこころ/小沢昭一・大倉徹也著(新潮社)』を読みました。
これまた驚きのブックオフ価格200円ポッキリでした。
登場する流行歌は、小沢さんが小学生くらいに何度も聞き、歌っていたものなので、歌手本人は明治生まれくらいの方が多く、知らない曲が多く、知っている場合でも、曲そのものは私が知っているものが、実は“本家”がいて、この本は、その本家の方のお話なのでした。
登場する歌手で印象に残ったのは、「美ち奴」、「杉狂児」、「小唄勝太郎」という初めてその名を聞く人ばかりでした。
しかも皆さん、爆発的なヒットを生んだにもかかわらず、その後には私も知っている有名な戦後の歌手がその曲を取り上げ、むしろそちらの方が今では本家かと思われている・・という、ちょっとやるせないような事実も知りました。
それに、戦時中には、軍部からの監視が強く、歌詞を変えさせられたり、楽団もなく、マイクやスピーカーもないところで歌わせられて、本来の軽やかな歌い方が出来ず、喉の調子を落として、その後の歌手人生に影響してしまった話などもありました。
で、この本は小沢さんのお馴染みのラジオ番組から書籍化しているので、文中で小沢さんがその歌を歌うのをそのまま音符の絵付きで歌詞が書かれ、こちらはメロディも知らないのに読みながら小沢さんの顔など想像しつつ、でたらめに歌ってしまうのです(^_^;)
なぜか、それが楽しいんですよね、小沢さんがどの話もうれしそうに語っているので、こっちもその気になってしまうのです。
かつての“懐メロ番組”などで私も知っている歌手も登場します。
藤山一郎さん、灰田勝彦さん、霧島昇さん(奥さん ※松原操さん も登場するがその方は存知上げず)、ディック・ミネさん、そして私もよく知っている美空ひばりさんも“トリ”で登場します。
小沢さんはひばりさんの大ファンで、ひばりさんとの温かいエピソードには心温まりました。ひばりさんって、素敵な人だったのだな、と、あらためて知りました。
小沢さんが歌っていると思って以下のような歌詞を読んでいったのですが、読んでいるこちらも何か心にじんとくるものがありました。
花咲き花散る宵も
銀座の柳の下で
待つは君ひとり 君ひとり
逢えば行く ティールーム
楽し都 恋の都
夢のパラダイスよ 花の東京
・・夢のパラダイス・・っていうところがなんかいいですよねぇ、花の東京
今もあこがれの“花の東京”なのかなぁ・・。
野球小僧に逢ったかい
男らしくて純情で
燃える瞳がスタンドで
じっと見てたよ背番号
僕のようだね君のよう
オオ マイ・ボーイ
朗らかな朗らかな 野球小僧
・・僕のようだね君のよう・・のところのメロディーなんか、胸にキュンときますね。青空高く、白い雲に向かって白球が飛んでいくところが目に浮かびます。
いい本でした。
小沢さんには、もっともっとご健在で、このような本をたくさん出していただきたかった・・。
古書の専門店などに行くと、小沢さんの貴重な全国を回って集めた様々な芸能の本などがあります。
これからはそんな本にも手を拡げて日本の、昭和の芸能について知りたい、などと思っているところです。
【Now Playing】 Revolution / The Beatles ( Rock )
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