ウイスキーを読む17篇
『今宵もウイスキー/太田和彦・編(新潮文庫)』を読みました。
これは、このブログでも何度かご紹介した“居酒屋の達人”太田和彦さんがウイスキーにまつわる様々な短編や、エッセイなどを味わい深く集めたものです。
その顔ぶれを見ても山田風太郎、安岡章太郎、山本周五郎、山口瞳、沢木耕太郎、開高健・・どの先生も威風堂々、“一筋縄”ではいかないお歴々ばかり(^_^;)
無頼な感じの先生がいたかと思えば、繊細な印象のお話も有り、不思議なちょっと怖い話が登場したり、ワクワクしたかと思えば、深いなぁと思ったりの連続で素敵な楽しめる本でした。
“トリ”をつとめたのはなんとあの「竹鶴政孝」、そう・・あの「まっさん」の竹鶴さんです。
スコットランドに行ってスコッチウイスキーの勉強をすることになった時のお話や、もちろん異国でのリタとの出会い、そして日本での苦労話なども綴られていて、そこは特に食い入るように読みました。
ここでも、リタへの想い、湖畔で誓い合った将来の話、リタ亡き後のショックが続いた頃のこと、リタの好きだった余市工場の見える丘に墓をつくった話も書かれていて、しんみりとしてしまいました。
編者の太田さんが最後に語っておられるのですが、ビールは人を愉快にさせ、笑いたくなる健康さがいい、ワインは女を口説きたくなる背徳感がある、日本酒は人の情けに泣く人情の酒、焼酎は世をあきらめ達観した無常観がある、ビールに合う話題はスポーツ、ワインは恋愛、日本酒は人生の機微、焼酎は・・何も考えていない・・(^^;)
そしてウイスキーは何かを哲学的に分析し、正確に言語化してゆく気分がおきる、ゆえに男同士がふさわしく、男女の甘い会話、女同士のあけすけな(失礼)会話には似合わない、「情」よりも「理」、なんておっしゃっています。
これも深く、おもしろい解釈だ、と思いました。
お酒好きのあなたのお酒の“肴”にぜひどうぞ。(^-^)
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