『王家に捧ぐ歌・2回目』・・進化の度合いはすごかった
宝塚歌劇・宙組東京公演「王家に捧ぐ歌」二回目の観劇に行ってまいりました。
前回の観劇から二週間を経過していましたので、宙組らしく舞台はかなり練り込まれていました。
主役・朝夏さん演じるラダメスの戦友・メレルカを演じた桜木みなと(さくらぎ・みなと)さん、そしてエチオピア王家の元家臣・サウフェを演じた蒼羽りく(そらはね・りく)さん、共に舞台上でその役柄がくっきりと映えていて、それぞれに自らの立ち位置をしっかりとしたものに築き上げていました。
同じくラダメスの戦友・ケペルを演じた愛月ひかる(あいづき・ひかる)さんも、内面的なものまで見えてくるような役づくりが光っていました。
さらに星組から組替えの真風涼帆(まかぜ・すずほ)さんは、アイーダの兄で、物語の“黒い”部分を担う難しい役を大きな演じ方で見せてくれ、宙組にもしっくりと馴染んできた感がありました。
また、前回と同じく“特筆もの”の素晴らしさを感じたのは、専科からの箙かおる(えびら・かおる)さんのファラオでした。
どうしてあんなに声が劇場の隅々まで通るのでしょうか、そしてその“オーラ”は完全に「ファラオ」です。すごい迫力でした。
同じく専科からの一樹千尋(いつき・ちひろ)さんのエチオピア王・アモナスロの狂気の演じ方、娘であるアイーダとの人間性を懸けたような“取引”の様子、そして深い歌唱力にこちらも舌を巻いたのでした。
そして今回大進化を遂げていたのが、ファラオの娘・アムネリスを演じた美形娘役・怜美うらら(れいみ・うらら)さんです。
前回ちょっと気になった歌唱の方も、ほぼ大丈夫。かなりの練習を積み重ねている様子がうかがわれました。
そして、演技では観客をたじろがせるほどの渾身の名演でした。
完全にお客さんの心をぐっと掴んで、さらに引き寄せるようなものでした。箙・ファラオが真風・ウバルドに刺されたあとの湧き上がるような心の変化を前回よりも何倍も表現力豊かに演じ、絶命した父のそばに立ち、朝夏・ラダメスに剣を突きつけたところではご本人の体がふるえるようで、感極まっているのがよくわかりました。
この人の芝居力はもの凄いものがあります。そして歌唱でも地声で歌うときの声の魅力も他にないものを感じました。
さあ、娘役主演の実咲凜音(みさき・りおん)さん。アイーダをどんどん自分のものにして、前回どう表現していくのか未完に感じた歌も磨きあげられ、実咲さん独自のアイーダの歌唱をものにしていました。
さらに、お芝居の方も朝夏・ラダメスとの間合い、呼吸をうまく取って絶妙の関係を描き出していました。いよいよ完成形が見えたという印象でした。素晴らしかった。そして、ラストの方では自信に満ちてアイーダを演じているのが観客側からもよくわかりました。
トリは、もちろんトップスター・朝夏まなと(あさか・まなと)さんのラダメス。
こちらも歌いまくりのこの演目を宝塚、東京の長丁場を乗り切って、トップらしく喉を保たせて、今なお伸びのある歌唱と、力強さまで感じさせてくれました。
また、朝夏さんが作り上げてきたラダメスがしっかりと息づき始めているように感じました。
ラストで地下の暗闇の中、実咲・アイーダと抱擁し、祈りを捧げよう・・となったシーンでは、実咲さんをきつく抱きしめ・・・・なんと朝夏さんの大きな両目から涙がスーッと流れ始めたのです。それがまた美しかった。
観客も息を呑み、声も出ず、主演二人を見つめていたのでした。
・・なので、その後のフィナーレでは、二人を、そして宙組の皆を讃えるように、ものすごい手拍子となり、あまりの観客の興奮状態に、手拍子はオーケストラの演奏を速度超過で飛び越し、まるで大劇場のノリノリで突っ込んでいく関西風な“強烈なオベーション”の嵐が吹きました。私も大興奮、&涙・涙・・…σ(^_^;)
いいもの見せてもらいました。
宙組の公演中に大進化する姿も、トップが替わってからも脈々と続いているようです。
全国ツアーがまた楽しみになってきましたよ!d(^_^o)
【Now Playing】 トロイメライ / ACOON HIBINO ( Instrumental Music )
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