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2015/09/12

「キャベツ炒めに捧ぐ」を読んだ

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『キャベツ炒めに捧ぐ/井上荒野著(ハルキ文庫)』を読みました。
このところ井上荒野“ざんまい”とまではいきませんが、この人の小説は独特の感覚があり、惹かれるところが多いです。ブックオフでの出会いですが、出会ってよかった。

今回はちょっと異色の物語。
六十歳“デコボコ”の女性三人が惣菜屋さんで働き、それぞれが死別、離別、独身の身。
三人が三人とも大人の事情があり、それぞれが主人公となるような形で三者三様のドラマを繰り広げ、そしていくつかの小篇に分かれているのですが、あさりフライ、豆ごはん、ふきのとう、キャベツ炒めなどの惣菜を作り、食べていくシーンの中で笑えるシーン、しんみりとするシーン、後悔や、恨み、哀しいシーン、その他のやはり味のある登場人物との付き合いが、まったくの日常の中で展開します。

主人公は皆女性ですが、女性がある程度の年齢になり、これからの自分をどう処遇するか・・、男に対する若い頃とはちがう感情、愛情の持ち方、そしてこの物語では、三人がやっている惣菜屋での“ユニット”とも言えるような“バラバラなのに結束固い”チームワークがまた胸に残ります。

そして、登場人物の一人が自分の記憶の彼方になっているものを取り戻すかのように義妹がやっているペンション近くの山に入り、かつて夫とふきのとうを採ったところに行き、そこで夫が言った言葉を思い出す。
雑木林の新緑と、木々の根元にところどころ残っている雪の緑と白。冬と初夏が混在する景色を見て「君みたいな景色だ」とぽろりとこぼれ出た言葉。
風邪になった子供を、「大丈夫だろう、明日の朝医者に診てもらおう」という夫の言葉のままに翌日医者に行き、肺炎となった子供が亡くなってしまい、それからその夫が亡くなるまで恨み辛みのような言葉を投げ掛けてしまった自分・・・、そしてあらためて思い出した自分への夫の言葉、・・こんなシーンが他の二人にも“ワケあり”な身ゆえにあるので、ほんとうに人生のひとコマ・ふたコマを“ジン”としながら見ることになります。

今回もいい物語でした。
次はまた別パターンらしき井上さんの著書も手に入れておりますので、読みましたらまた感想を挙げますね。
それではまた(#^.^#)


【Now Playing】 Namibia / Daniele Di Bonaventure & Giovanni Ceccarelli ( Jazz )

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