『編集手帳の文章術』を読んだ
『編集手帳の文章術/竹内政明著(文春新書)』を読みました。
著者は読売新聞の看板コラム「編集手帳」の6代目執筆者です。
新聞のコラムというと、著者も言っていますが、新聞全体が料理のフルコースだとすると、「食前酒」にあたるという、そんな最初は口当たりもよく、でも「これは?!」という今後の料理に期待させるような意外性も必要、実に難しい文章ということになります。
私も拙い文章ですが、ほぼ日々ブログを書いていてあれこれ悩むことがあります。
例えば「使いたくない、使えない、使わない」言葉。
著者とはかなり一致するものがありました。
「生きざま」・・死にざま、というように“ざま”とは悪い意味にしか使わない。
「〇〇的」ばかり使う表現・・ようするにはっきり書けないからこう言う。
「ちょっと待って欲しい」・・ほんとうに“ちょっと待って欲しい”(^_^;)こんな陳腐な表現使わないで欲しい。
「スパコン」・・妙な縮め方しないでほしい。耳に馴染まない、気心知れない言葉です。
「定番」・・著者も言っているが、もともと小売業者の内輪の符丁だと思います。寿司屋で「アガリください」とか、「ムラサキを」と言っているような感じに聞こえるんだよな。
「立ち上げる」・・これも大嫌いな言葉。「NPOをつくった」、「パソコンを起動した」でいいじゃないの。
「上から目線」・・“目線”は、このブログで何度も再三唾棄すべき言葉遣いとして取り上げてきました。テレビ、映画、演劇の業界用語です。
そして、私が使わない、むしろ嫌いな言葉としては、
「スピード感をもって」・・急いでやっている風を装って、という意味にしか取れない。
「利活用」・・これも耳に馴染まない。使っている人が皆うさんくさい。
「とらまえる」・・なんすか、これ。とらえると、つかまえるの混合語でしょうか。
これもイヤ~な感じの人が壇上や、部下に向かって使っているのをよく聞く。
嫌いな言葉だけで終わっちゃうので(^_^;)次行きます。
著者は耳で聞いたときの“音”は、どう聞こえるか、とか、接続詞「が」の使い方、ひらがな、カタカナ、漢字のどれを使うか、また漢字でも複数のものが使える場合の選択、そして「子供」か「子ども」かという現代の使い方についても悩みつつケースごとに判断し、漢文調や文語調(ときどき私も使う、使いどころによっては効果大)、などなど様々な観点から推敲を重ねていて、私もこれを読んでいて、そのきめ細かい文章作りへのひたむきさに“穴があったら入りたい”と、小さくなりました<(_ _)>
この本はテキストとして、模範として、今後何度も頁を繰ることになりそうです。
読んでよかった、文章への対峙の仕方についても、とても勉強になりました。
【Now Playing】 Birk's Works / Red Garland ( Jazz )
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