「ガイズ&ドールズ」観てきました
宝塚歌劇・星組東京公演『 GUYS AND DOLLS (ブロードウェイ・ミュージカル)』を観てまいりました。
このミュージカル・コメディは1950年、本場ブロードウェイで1,200回ものロングランを記録した作品で、日本の宝塚では、あの大地真央・黒木瞳のトップコンビが1984年月組公演でお二人の代表作とも言われるような成功をおさめています。
その後、同じ月組の紫吹淳・映美くららのコンビで2002年に再演され、これも好評だったようです。
そして今回は星組の北翔海莉(ほくしょう・かいり)、妃海風(ひなみ・ふう)さんの新トップコンビお披露目公演として東京にやって来ました。
最初に結果から言ってしまうと、素晴らしい出来でした。
実力派のトップコンビの“力”を存分に発揮されていたと思います。
舞台のセットも素晴らしく、もちろん楽曲も良いものばかり、組全体がフレッシュに生まれ変わったような印象でした。
苦節ン年、遂にトップスターとなった北翔さんは、私が宝塚を見始めた頃のトップスターのような堂々のトップスターぶりをステージで見せてくれ、組全体についても、稽古で、そして現在進行形の舞台上でもよく把握して、組全体を引っ張り、また皆がついてくる様子がよくわかりました。
北翔さんは、上記のように堂々として、かつての月組・剣幸(つるぎ・みゆき)さんのような王道のトップとしてのたたずまいを感じました。それだけでなく組子達にも慕われている様子も感じられ、そこでも剣さんのような人柄まで感じさせる存在感がありました。
北翔さんと共にトップ娘役に就任した妃海風さんは、歌には定評があり、しかも芝居ごころもなかなかのものを持っていて、パッと明るい存在感は天性のものを感じます。
必死で北翔さんに食らい付いてでもついて行こうという気迫を感じました。
二番手男役スターの紅ゆずる(くれない・ゆずる)さんは、他の宝塚男役スターには無い、独特の“くずした”役作りで、観客から笑いを引き出し、またこのミュージカル・コメディにゴージャスな躍動感をもたらしていました。紅さんもかなりこのネイサン・デトロイトという役の研究をされてきたことがうかがわれました。
悪役なのに憎めないビッグ・ジュールを演じた十輝いりす(とき・いりす)さんも宙組にいたときのような余裕と幅をもたせたコミカルなアイデアあふれる演技が楽しく、素敵でした。
そして、今回は男役三番手でありながら、主役級の娘役・アデレイドを演じた礼真琴(れい・まこと)さん。かなり元気な娘役といってもいいくらいの娘役に徹し、かつて月組だった頃の明日海りお(あすみ・りお)さんが「ミー&マイガール」のジャッキー役で見せたような“娘役でもいいかも”などと思ってしまうほどの素晴らしいアデレイドを作り上げていました。
コミカルなシーンも、ソロで歌うシーンも、同期の妃海さんと二人だけで長尺で舞台を任せられたワン・シーンも素晴らしい出来でした。さすがだなぁと思いました。
ベニー・サウスストリート役の七海ひろき(ななみ・ひろき)さん、ラスティ・チャーリーを演じた麻央侑希(まお・ゆうき)さん、はじめ星組の皆さんが、どんな役でもそれぞれが光り輝いていたと思います。端っこの方にいるひとり一人についてもです。
これって北翔さんが今まで専科などで主役を演じたときのそれぞれの組子達が突然キラキラと輝きだしたあの時と同じです。
これも北翔さん“トップ効果”と言えるのではないでしょうか。
星組の、体育会系で、“それぞれが個人経営”みたいに“オラオラ”と主張していたあの感じは鳴りをひそめ、逆に皆が自分の役割がこのミュージカルには確実に必要なものなのだ、という自覚のようなものを持ち、相乗効果的に組が良くなっているのではないかと思いました。
天寿光希(てんじゅ・みつき)さん、如月蓮(きさらぎ・れん)さん、愛水せれ奈(あいみ・せれな)さん、毬乃ゆい(まりの・ゆい)さん、壱城あずさ(いちじょう・あずさ)さん、音波みのり(おとは・みのり)さん、白妙なつ(しろたえ・なつ)さん、十碧れいや(とあ・れいや)さんら、皆が個々に輝いて、舞台全体もさらに輝きを増すのです。
素晴らしいことだと思いました。
残念ながらチケットは今回の一回分しか手に入れていないので、再度その進化を見に行くことはできませんが、さらにさらに北翔さんの星組、よくなっていくことでしょう。
素晴らしい仕上がりのミュージカル「ガイズ&ドールズ」でした。
【Now Playing】 ラジオ深夜便 / 鶴岡市立加茂水族館シニアアドバイザー・村上龍男他 ( NHK-AM )
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