「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」を見た
映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア(SAGRADA EL MISTERI DE LA CREACIO)/2012年スイス 脚本・監督:ステファン・ハウプト』を見ました。
映画といっても、誰か主演がいて物語があるわけではなく、あのガウディの建築プロジェクトで、完成までに300年はかかると言われてきたサグラダ・ファミリアという教会の建築をドキュメンタリー的に追ったものでした。
スペイン・バルセロナにあるそのサグラダ・ファミリア、既に建築開始から130年以上を経過していますが、戦禍で設計図やガウディの作ったモデルなども多くを失い、残った資料や発見されたモデルの破片などからその完成形を創造しつつ徐々に立ち上がり、コンピューターの導入などにより予想を上回った進捗状況で、2026年には完成するのでは・・というニュースも最近流れてきました。
映画には実際の現場監督や、主任建築家、彫刻家(なんと日本人が担当しているのですね)、ほか様々な関係者の証言や思いが建築作業の様子と共にドキュメンタリーとして収められていました。
私も子供の頃から、このプロジェクトが営々と進められていることを何かで見て「自分が生きているうちに完成されたサグラダ・ファミリアを見ることはないだろうな」と思っていました。
今回のこの映画では、なかなかカメラが入れないサグラダ・ファミリアの内部の様子をかなり克明に見ることができます。
それに実際に進められている建造の様子、彫刻しているところ、ステンドグラスの作製やそれを実際に高い窓にはめ込むところなどなど・・単なる作業というよりも何かガウディの想像したサグラダ・ファミリアに立ち向かう崇高な様子が見てとれました。
それだけでもこの映画を見る価値があったと思います。
あらためて見て、自分で驚いたのですが、着工から130年をも経ているのに、私には“とても新しい感覚”の建造物に見えました。
それに、建造物というよりも、何か“生き物”あるいは「ガウディ」の魂のようなものと、今まで建築に携わった人々の気持ちが有機物のようにそびえ立っているように見えたのです。
過去の反対派の行動などにより、ガウディが考えていた正面への導入部には住宅が建ってしまったりしていて、まだまだ問題は山積のようですが、黙々と続けられている作業と、それを見守る世界中からの観光客(年間300万人!とのこと・・おかけで建築費はこの入場料収入でまかなえるらしい)が、サグラダ・ファミリアの完成を後押し、見守りをしているように思います。
淡々と映像とインタビューが流れていく映画ですが(ローマ法王が訪れるシーンがクライマックスか)、美しい映像と“ドッシリ”とした重厚感も感じる静かで落ち着いた内容でした。
生きているうちに完成したサグラダ・ファミリアを私は見ることができるのか。
映画中では「完成するということは、やがて人には死が訪れるということを示すようなものだ」と表現されていましたが・・予定よりもまた長引くような気もするし、ひょっとして誰も完成を実は望んでいないのかもしれない、などと思ったのでした。
【Now Playing】 clover / WHY@DOLL ( J-Pop )
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