1953年の本「風俗時評」を読んだ
『風俗時評/花森安治著(中公文庫)』を読みました。
著者花森安治さんは、あの「暮らしの手帖」を大橋鎭子氏と共に設立した方。
暮らしの手帖と言えば、読者の絶大な支持のあった「商品テスト」がありました。
家電品や日用品を家庭でふつうに使う仕方で試す企画でした。
消費社会の到来という状況にうろたえる人たちへのメッセージ的なものだったのかもしれません。
でも、それをすれば広告を出してくれるスポンサーにおべっかを使うわけにはいかないので、広告を断るしかなくなり・・かなり腰の据わった雑誌だったと思われます。
この「風俗時評」では、服装に黒の流行があればそれにひと言もの申し、サラリーマンの制服である背広に対しても“一くさり”。
七五三の親馬鹿ぶりについてもガツンと釘を刺し、酒飲みの電車の中での醜態にもグサッという切れ味で思うところを語っています。
60年以上も前の本なのに、今読んでもその精神は深くこちらに伝わってきました。
特に心に残ったのは、世の中をリードする立場や地位にいる人たちの鼻持ちならない様子についても怒りをこめて書かれている部分でした。
思い上がった特権意識、一般国民というものを虫けらのように考えて、自分だけは何か高い台の上にいるような意識、気持、こういうものがバカなことを考えさせるのだとおっしゃていて、・・今現在もまさにそんな状態であると私は思いました。
バカなことを次から次へと考え、実施していく・・。
武器を持たぬ私達下々は、“風刺”という頭の中にある武器を使っていくしかないのですけれど・・。
【Now Playing】 ラジオ深夜便 / 堀内孝雄 ( NHK-AM )
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