「夜の一ぱい」を読んだ
『夜の一ぱい/田辺聖子著・浦西和彦編(中公文庫)』を読みました。
これは田辺聖子さんの1966年から2004年までの数ある著作の中から「お酒」に関する一文を集めたものです。
酒そのものからその“アテ”について、酒にまつわる男と女のお話、酒と共にある仲間や様々な“酔っ払い”(^_^;)、とにかくあらゆる酒の話題が満載の本でした。
中でも特に私にピピ~んと来たのが、田辺さん、ものすごい“宝塚歌劇好き”だったんですね。宝塚の主題歌のレコードを聞きながらお酒を飲むのが美味しいのだ・・という、「宝塚を肴に酒を飲む」まさに私のようなヅカ・ファンでなければわからない世界も語られていました。・・わかるっ!わかるんだよねぇ…σ(^_^;)そうだろう、そうだろうと深く同意いたしました。
お酒にまつわる川柳にもふれられていました。
「飲んでほし、止めてもほしい酒をつぎ」
麻生葭乃(あそう・よしの)さんという女流流人(りゅうじん)の作が紹介されていました。
酒好きの夫につぐ酒は、妻としてはまことに飲んでもらいたいし、そうかといっていわれるままについでいては体のためにも悪い、そのへんでやめてほしいが、またいかにも美味しそうな、上機嫌なさまを見れば、とても「もうお止しになったら」などといえない、喜ばせてあげたいと思うから、機嫌良くもう一本つけたくなる・・そんな一句。
私のこころにも響いてきましたよ。
上記のような粋な話題も交えつつ、田辺さん、飲む・飲む・・(^_^;)特に日本酒のぬる燗を亭主と共に毎夜とことんやっている様子が「文壇呑兵衛番付」三役に食い込むだけのことはある、という感じでした。
ほとんど蘊蓄を傾けるというようなことはなく、ただお酒を楽しい仲間や、愉快、そしてどうしようもない人達と飲んでいく様子が面白く、時代を感じさせる“飲み過ぎ”な感じも今となっては懐かしく、とても楽しめましたこの本。
“楽しい酒”を感じながら読む、という感覚でした。
呑兵衛には“心の友”的な本になるでしょう(^-^)
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