椎名誠さんの「死について考えた」本を読みました
『ぼくがいま、死について思うこと/椎名誠著(新潮文庫)』を読みました。
私が読む椎名さんの本の多くは、割と楽しいキャンプや焚き火や全国津々浦々、または世界を旅したことを書いたものですが、今回は70代を迎える椎名さんが真剣に「死」を考えて書かれたこの本です。
私も身近な人達が亡くなることが多くなった今、自分の死についても考えることが多くなって、思わずこの本を手に取ることになりました。
前半は、椎名さんが旅した国々での風葬、鳥葬、水葬などの風習を、その国の人々の死、葬儀についての考えを含めて書かれていました。
それを読むと、現在の日本ではほとんど火葬し、墓石の下にある棚に骨壺を置いていくやり方がむしろ特殊なように思えてくるのでした。
死者の魂が抜けた状態の遺体はただの物体のように考える国もあって、その抜け殻のようなものを塔の上にあげて、禿鷹が食べに来る・・とか、逆に死者に寄り添い三日三晩死者を布でくるみ、ずっと家族が一緒に過すというような風習ある国も紹介されていました。
死、死者に対する扱いや感覚は国によってまったく異なる様相を見せます。
椎名さんは、子供の頃から何度も死と隣り合わせの危機に遭遇していますが、ご本人が言うように悪運が強いのか、すんでのところで死を回避しています。
掛かり付けの医師から「あなたは死について考えたことがないでしょう」と言われ、思わずうなって考えてみた・・のが、この本のようでした。
終盤に、椎名さんがもっとも仲良かったり、生涯の親友と言えるような人に「死」に対するアンケートを取っています。
そのアンケートについて、私も考えてみることにしました。
①どんなふうに死にたいか
宝塚劇場で演目が終わり、幕が降り、客電が点いて「さよならみなさま」が流れる中、座席で満足そうに笑顔で亡くなっている・・(^_^;)
実はこのブログに度々登場するヅカ友の女神も同じことを言っていました。
係員が、「お客さま、どうなさいました」と、声を掛けている姿を思わず思い浮かべます。劇場にはたいへんな迷惑ですが、こうして死ねたら本望です。
②お葬式をやるか、やらないか
やるかやらないかで言えば、やる。
③やるならどんなふうに
妻と子供達でひっそりと、私とのことを思い出してもらって、“ほっこり”としたものにしてもらいたい。
④棺桶に入れてほしいものなど
何かビートルズの音源を入れてほしい。あっちの世界でもビートルズを聞きたいから。
⑤お墓に入りたいか、否か
寒そうで、悲しい感じがするのでいやなんだけど、でもお墓に行くと割と最近亡くなった人が立っているのを見ることがあるので、やはりお墓は死者にとって必要なんじゃないかと思ってしまう・・だから入った方がいいのかも。
以上が、私が考えてみた椎名さんの「死に対するアンケート」への回答です。
自分が生きているときにこうして考えてみるのもいいことなのかもしれないです。
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