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2016/03/31

水木しげる先生の幸福論、読みました

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『水木さんの幸福論/水木しげる(角川文庫)』という本を読みました。
水木しげるさん、もちろんあの「ゲゲゲの鬼太郎」で有名なあの漫画家の先生です。
私の世代は水木さんの漫画にお世話になり、テレビ化された様々なアニメや恐怖ドラマなどが印象に残っています。

この本では、水木さんの幼少の頃の様子や、独特の水木さんのルールというか、生き方、存在の仕方が先ず紹介されていて、時代のせいもあるかもしれませんが、実にのんびりとした生き方をされていて、学校の先生もあきれるくらいの幼少期であったことがわかりました。

「成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない」

「しないではいられないことをし続けなさい」

「好きの力を信じる」

「なまけ者になりなさい」

「目に見えない世界を信じる」

などなどまだあるのですが、水木先生の言うことには、今の私の歳になるとうなずけることばかりです。

仕事を転々として、どこでもその水木さんのゆったりとした生き方が受け容れられることはなく、大変な苦労の末に戦争に、しかもすでに形勢不利となっていた南方ラバウルに出兵となってしまいます。

そこでの上官からの仕打ちや、考えられない過酷な環境、死が常に隣り合わせになっているギリギリの軍隊生活。
読んでいるだけでこちらの胸が痛くなるのですが、それでも水木さんはそのペースをくずしません。

すんでのところで死をまぬがれたものの、左腕を失ってしまいます。
それでも、現地のトライ族の人達と仲良くなり、一族の、のんびりした生活が水木さんの生き方とばっちり合ったようで、終戦後もそのまま現地に残ろうとします。
まさにトライ一族は水木さんの大好きな生き方をしている理想的な姿を見せていたようなのです。

そして戦禍の中での摩訶不思議な体験などが後の「妖怪」ものの作品のきっかけとなったのだと思いました。

読んでいるだけで、どんなにか辛かったろうと思うのに、水木さんはなんとか生きていて、のんびりとした“水木さんのルール”の中にあるのです。
売れっ子になって忙しくなった後にも、売れなかった頃には貪欲に仕事を求めていたのに、トライ族に久し振りに逢いに行ったことをきっかけに仕事を減らして、本来の幸福を追求しています。
他の“売れっ子漫画家”とは一線を画している水木大先生(おおせんせい)の姿が私にはとても素敵に感じられました。

先生は亡くなられましたが、今でも先生の作品や、漫画週刊誌などで先生が描いていた“妖怪特集記事”などは鮮烈に心に残っています。

私も先生のように、そろそろ“私のルール”で生活したいな、なんて思ったのでした。


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