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2016/03/15

三島由紀夫の「若きサムライのために」を読んだ

20160315_yukio_mishima01

『若きサムライのために/三島由紀夫著(文春文庫)』を読みました。
これは昭和四十年代前半に、雑誌に掲載された三島の文をまとめたもので、単行本としては日本教文社から昭和四十四年に刊行されたものです。

若きサムライのための精神構造という章では、

勇者とは
作法とは
肉体について
信義について
快楽について
羞恥心について
礼法について
服装について
長幼の序について

・・三島は自らの信ずるところに何の迷いも躊躇もない様子で書いています。
そもそも“国”というものは戦わねばならないものだと信じて疑うことなく、“一点の曇りもない” (・_・;書きっぷりに、昭和四十年代という時代を差し引いてもかなり怖いものを感じました。

肉体や性衝動などについても一方的な論理として書かれていて、この文庫本は1996年の第1刷から2013年まででも28刷まで重ねているわけで、こういうのを読みたいと思う人がいるのだな、と別の意味で感心してしまいました。
・・ま、私も読もうと思った者の一人なわけですが・・、ここまで書いているとは思わなかった。

対談も掲載されていて、相手は三島が東大を卒業後、大蔵省に入省し、かつては同じ職場でもあった後の総理大臣、福田赳夫です。これも驚いたし、かなり二人ともフランクな感じで話をしています。
当時の若者に対する批判というか、嘆きというか、注文をつけるというか、そんなことになっています。

こうあらねばならない  とか  〇〇というものはこういうものだ  とか その硬直的というか、一方的な論理にはこの平成28年の世の中にいる私はただただ無言で、「はあ、そうですか」という感想しかありませんでした。
当時の天皇、皇太子に対してもずいぶんな表現で書かれている部分があって、“こわいものなし”なのか、虚勢を張っているのか、目を伏せたくなることもありました。

現在の政権政党が成立させた「平和安全法制整備法案」のこと、三島はどう思っただろう、などとも思いましたが、この本を読む前からも私が思っていたことは、国には戦いが必要だと思っている人は最初から戦うことを理想としていて、それに向けて何とかして法解釈を変えたり、法そのものを変えようとするのだということです。
何だかんだ論理をこねくり回しても、結局は“戦いたい”人は戦いを常に求めているのだとあらためて思ったのです。

三島の考えの一端を知るために読むのにはいいと思いますが、“ぞっこん”みたいになってしまうような人はやめた方がいいと思いました。


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