映画「CITIZENFOUR」を見た
『CITIZENFOUR・2014年 / アメリカ・ドイツ 監督:ローラ・ポイトラス ドキュメンタリー映画(本人登場:エドワード・スノーデン、グレン・グリーンウォルド、ユーウェン・マカスキル、ウィリアム・ビニー) 』を見ました。
エドワード・スノーデンという人物が、2013年に米国のNSA(国家安全保障局)が行っている米国民の膨大な通信データを秘密裏に収集しているという国家最高機密を告発した事件の、まさにリアルタイムで撮られたドキュメンタリー映画でした。
写っているのは、ほとんどがホテルでのスノーデンとジャーナリストの当時の様子と、当局から手が伸びてくるのではないかという緊張感ある空気でした。
NSAはメルケル首相の携帯電話も盗聴していたり、日本の安倍首相の電話も盗聴していたのはその後のニュースで報じられました。その時の日本の対応は盗聴の事実を確認したかどうかも曖昧なままです。説明を求めただけで、政府は主権を侵害されても、正式の抗議もせず、毅然とした対応さえ出来ていません・・。
スノーデンは自分が殺されても新たな自分のような人物が次々と現われてくるから、自分の名前が出ても大丈夫だ、とフィルムの中で言っています。
人間という生き物は、権力というものを得ると、どこまでも傲慢になり、世を支配したくなるようで、国民ひとり一人の動向をつぶさに収集し、不穏な動きを封じたくなるもののようです。
9.11のテロ以後にアメリカは特に陰で行われている不穏な動きに敏感になったわけですが、国民も、そして他国の人間とのやり取りまですべて傍受して収集し、検索・分析できるようなシステムを構築し、インターネット関連企業を含めた大企業のサーバーにも入り込み、そのやり方には恐怖以上のものを感じました。
私達は、それこそが、アメリカ、そして世界が本来求めている「自由」の侵害になるのだということをよく認識する必要があるのだと心底思いました。
そして、そういう情報収集について私達は鈍感過ぎるのじゃないかという気持ちが上映中ずっと心の中を駆けめぐり、“ビッグ・データ”がどうしたこうしたといって無条件に収集した情報利用を礼賛することについても十分慎重な態度で臨むべきだと思ったのです。
ちょっと“脳天気”過ぎるのです、“上の方にいる人たち”。
この映画は、いわゆる「映画」というものとはちょっと異なる赴きのものでしたが、インパクトはかなりのものでした。音楽も、ストーリー展開を盛り上げるような演出も、もちろん無いドキュメンタリーでしたが、“ズシン”と応えました。
ジャーナリスティックな視線、また、人類の歴史の一コマのインパクトある事件を確認する視線など多様な見方のできる映画でした。
【Now Playing】 大人のジャズタイム / 島崎保彦他 ( ラジオ日本 )
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