映画「裸足の季節」を見た
『裸足の季節(Mustang)/2015年 フランス・トルコ・ドイツ 監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン 主演:ギュネシ・シェンソイ』を見ました。今回は妻と千葉劇場で。
舞台はトルコ。両親を事故で亡くした美しい五人姉妹が祖母と叔父に育てられているというシチュエーションです。
彼女達が放課後、男子生徒達と楽しく水辺で戯れていたのを近所の厳格な人から“つげぐち”されるところから物語は始まります。
この映画の監督(女性)のインタビューなどを読むと、トルコではイスタンブールなどの都会では現代的な考え方になっているが、そこから1000キロも離れたこの映画の舞台になっているような古い考えの残っているところでは、女性は貞淑に、穢れなく親の言うことを聞いて育ち、やがては親のすすめる相手先に嫁ぎ、初夜は隣室に夫の家族が控え、シーツにについた血を確認するような慣わしがあって、まさにそのシーンがこの映画でも展開されます。
そんな“しきたり”に絶望しつつ、楽しく奔放な様子を見せる度に“監禁状態”に近い状況に押し込まれる姉妹。
映画の中程、最初のハイライトシーンは、その閉じ込められた家を五人が抜け出し、サッカーの試合の応援に行き、喜びに弾ける五人姉妹の様子がテレビに映ってしまう場面!
それに驚く家族の様子などは痛快で館内でも思わず笑い声が・・。
女性監督が自らの体験をもとに撮っただけのことはあり、男の監督では、女性五人の姉妹が無防備に部屋で過す様子、あられもない姿や、むせかえるような少女達の“子供と大人の狭間”にある不思議な色気のようなものがあからさまに撮影されていて、その新鮮な感覚には驚きました。
男に都合の良い社会が形成され、それは女性にとっては理不尽きわまりないことであるにも関わらず、そういう社会で妻となり、母となった女性はその男性のための社会に加担することになる。それは自分の子供達に自分と同じ道を歩ませることになるのですが、それが人として、女性としてあるべき姿だと思い込んでしまえば連綿とそんなことが続いていくという・・、今の日本人があらためてよく見て考えた方が良いことがこの映画には含まれている、そう感じました。
今、私達が得ている環境は過去のそんな事実を踏み越えてのことだと・・。
私の亡くなった祖母が言っていたのですが、祖母の姉は親が決めた相手に嫁ぐことになり、祝言の日に初めて相手を見たというのです。
そして、新婚初夜、祖母の姉は嫁ぎ先を抜け出し、一人夜中にひと山超えて隣村から逃げて来たんだそうです。「あんな変な男いやだ。」ってことで(^^;)
それを笑いながら話す祖母も、その姉も、当時はそうとうファンキーだったようですd(^_^o)
まるでこの映画みたい(#^.^#)
ラストの息詰まるような場面は、ぜひ映画館でご覧いただきたい。
長編作品はこれが初めてとは思えない、監督の素晴らしい映画でした。映像もとてもきれいです。かなりのおすすめ度ですよ!
【Now Playing】 大人のジャズタイム / 島崎保彦他 ( ラジオ日本 )
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