壇密日記を読んだ
『壇密日記/壇密著(文春文庫)』を読みました。
書き下ろしの文庫オリジナルです。
本屋で立ち読みしたときに、数ページをめくってみて驚きました。
素晴らしい文体というか、心模様が文そのものに表われていて、ちょっとめまいがして、よろめいたくらいです。
参考にしたいくらいですが、参考にできるほど容易な文章ではありません。ふわっと書いているようで実は手強い作りになっています。あなどれない・・。
自分の身の回りで起こっている些細なことを聞いたこともない切り口で毎日さばいています。
それがまたテレビなどで見ている壇密さんの妖艶な様子とは異なり、33歳、さまざまな面で女の曲がり角に立っている女性の裏側を見せてくれて、それがまた格好つけてなくて、いいのです。
なぜか、天候、特に雨の様子については気にされていて、それはやはりお肌や、着るもの、買物に出掛けるとき(自転車であちこちドラッグストアなどに出掛けている)に気にかかるのでしょう。
一緒にいる猫のこと、水槽にいる魚のこと、シャンプーやコンディショナー、今までの男性の事など、なんの前触れもなくスッと出てくるので驚いているヒマもなく、あられもないことなとが語られています。
それがまた絶妙のタイミングです。
彼女がふともらした言葉などにも、「おっ!」と感心してしまいます。たとえば・・。
「給料をあぶく銭と言われる。」
「芸能界の椅子、ここが空いていると思った?」 私「椅子は自分で作りました。だからすぐ壊れても仕方ないですね」
与えて、奪う。相反するふたつを同時に行うモノは様々ある。奪われたものだけを記憶して自暴自棄になる時もある。居なくなりたくなる。そんな時、自暴自棄を引き起こさせてそれを食べにくる鬼がいることにする。
鬼は涙と怒りしか食べられないから、ヒトにこんな辛い思いをさせ、腹をふくらませる・・・という話を勝手に作る。
・・こんな文を書けるでしょうか。見惚れるということがありますが、読み惚れました。
「壇密日記2」も出ているので買いました(*^^*)さらに楽しみです。
読んだらまたこのブログに感想を書きますね。
【Now Playing】 らくだ / 桂ざこば ( 落語 )
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