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2016/09/08

「殿様の通信簿」を読みました

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『殿様の通信簿/磯田道史著(新潮文庫)』を読みました。

この本は戦国末期から元禄期の人物を取り上げていて、その時代の人物を探るのに良い史料として【土芥寇讎記(どかいこうしゅうき)】という元禄記に書かれた書物で、世上一般に知られていないものを用いています。

「土芥寇讎記」は書物というよりも幕府隠密の“秘密諜報”で、公儀の隠密が探索してきた諸大名の内情を幕府の高官がまとめたものらしいのです。

あの黄門様、徳川光圀も登場していますが、そこに書かれている女好きで遊郭に通っている姿は、著者の推測ではむしろ、そういう場所に通常では親しく話などできぬ人を呼び、詩文、書画、管絃などの達人と身分を超えた学芸の交流もしていたのではないか、ということでありました。
たぶん光圀にはこれがたまらなかったのではないか・・と。
それが世間の目からは女好き、酒好きで、遊郭に耽っているように見えたのではないかということなのです。
諸国漫遊はしていなかったというのは周知のことでありますが、光圀の上記のような幅広い交流が“そういう話”の元になったのかもしれません。

あの浅野内匠頭と、大石内蔵助についても「土芥寇讎記」には書かれていて、それはあの刃傷沙汰が起こる前に書かれているので、信憑性も感じられます。
もともと内匠頭はいろいろと問題を起こしていたらしいことも書かれているし、しかも無類の女好きであることも書かれ、さらには引きこもりであったことも記されています。
かなり評判が悪いのです。
大石内蔵助についても主君が色に溺れるのを黙ってみているのみで、なぜ諫めることが出来ないのか、「不忠の臣」であると決めつけられています。
この本にはさらに詳しいことが書かれているので、興味のある方はぜひ読んでみることをおすすめします。「はぁ~、へぇ~」と、あらためて知らされる事ばかり・・。

この本を読んでいて特に感じたことは、この日本という国には「私的な暴力体」が存在していただけであったのだな、ということ。
何か国全体が統治されているという感覚が持てませんでした。
おのれの土地を守るという私的利害のために強い者に従うというのが、この暴力体が成り立っている唯一の根拠といっていいという感じ・・。
村単位の地侍はおのれの土地の安堵を求めて、数か村に睨みをきかせる領主に従い、その領主達もさらに強い家康のような大名に臣従の礼をとって、「戦国大名家臣団」という私的暴力体が出来上がっているというようなことです。

そして、それは形こそ変えれども、現在も同じ様なことになっているんじゃないか、というのが私の感じていることです。なんとなくね・・。

ここに書かれていた大名達の行動、末路は単に歴史上の出来事ではありません。
今の私達の姿かもしれません。
逆に言うと、この本に登場する池田綱政、前田利常や内藤家長、本多作左衛門らは、私達が今生きている未来を経験していたと言えるかもしれません。

私としては、過去と現在を行き来しつつ読み進む形となりました。
非常に興味深く面白い本、おすすめです。


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