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2016/09/20

「嗤(わら)う名医」を読んだ

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『嗤う名医/久坂部羊著(集英社文庫)』を読みました。
著者は医師で作家、サウジアラビアなどの在外公館で医務官として勤務していたこともある変わった経歴も持っているようです。著書も医療関係多数の模様。

今回の本は、六編の短編を収めた、やはりすべて医療関係の小説集です。

寝たきりであるが、意識もはっきり、息子のお嫁さんに世話になっている男性の話では、リハビリを目指して頑張っている老人の視線から語られる小説でしたが、ラストに近づくにつれ、自分が認識している歳も周囲の状況も実際は全く違っていて愕然とするお話、認知症になった人から見た世界が繰り広げられます。不思議な感覚でした。

とことん“ついていない”女性の美容整形の話では、最後の最後までついていない悲惨な話かと思っていると、彼女を馬鹿にしていた医師や看護師が思わぬ運命に。せいせいしたような気になるかと思うと、なぜか虚しいお話。

全てが完璧な“神の手”を持つ名医の話では、その名医が自らを厳しく律し、自らを律するだけでなく、人にもそういうことを求めていたが、思わぬところから自己の人生が崩壊するような事態になり、人として変って行く話。示唆に富んだ物語でした。

医学部の解剖学講座の技術員の主人公は、無類の“頭蓋骨好き”。頭蓋骨の形の良い女性と結婚し、奥さんが亡くなったときにその頭蓋骨そのものを手に入れられると楽しみに・・??!にしている。
良い頭蓋骨を手に入れるために土葬の墓に、同じマニアックな趣味を持つ同僚と出かける、わけのわからない話。

名医の微笑では、ふだんから仏のように人に接し、にこにこと笑顔で常に相対する医師が・・週末にとある秘密倶楽部に出掛け、そこで患者や認知症の父親、出来損ないの息子に対して罵詈雑言を叫びながら倶楽部の女を攻める・・気絶しそうな嗜好の持ち主であったというお話。

人のつく嘘が皆わかってしまう医師の話も・・。

どれもこれも、この著者の心の中にある陰日向の投影ではないかと思われるくらいのリアル度で書かれています。

読んでいて、なんだか“そわそわ”してしまったのは、読んでいる私自身の心の中にあるダークな部分が浮き彫りになってきたような気がして、他人に見透かされやしないかと、不安になってしまったからかもしれません。

誰でも心の中にある闇の部分、ひどい心、そして逆に神かと思われるような優しい心や自らを犠牲にしてでもという献身的な心などが現われては消えるようなストーリーのものばかりでした。
ドキドキしながら、あっという間に読了。
・・明日から人に接するときの心の持ち方が変ってしまったような気がします。


【Now Playing】 荻上チキ・Session-22 / 荻上チキ・南部広美 ( TBSラジオ )

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