太田和彦さんの「北の居酒屋の美人ママ」を読んだ
居酒屋といえば真っ先に思い浮かぶのがこの太田さん。『ニッポンぶらり旅 北の居酒屋の美人ママ/太田和彦著(集英社文庫)』を読みました。
タイトルが“北の居酒屋”だからと、北の国ばかり行くのかと思いきや、秋田、福岡、八戸、岡山、勝浦(千葉)、長崎、奥多摩・・と、神出鬼没です(*^^*)
前にもこのシリーズの本をこのブログでご紹介したことがあるのですが、太田さんはその土地の良さ、そしてそこに住む人々の様子、さらに肝心な居酒屋の女将や大将、その家族にまで話がおよぶのです。
そうすると読んでいるこちらまで、その土地の風景、人の情け、地酒、美味しい肴が自然と心に浮かび、やがて沁みてくるのです、まさに太田さんの居酒屋紀行の真骨頂っ!!
太田さんが“美人ママ”と紹介するのは、必ずしも若い女将やママというわけではないのです。読み進めているうちに、女優顔の美人が・・息子さんが上階でバーをやっていて・・などという話になり、じゃ六十くらいだよねぇ(^^;)ということになったり、「山本富士子と同じ歳なのよ」と照れる美人・・てぇことは?!・・というわけで、かつて飛ぶ鳥を落とすほどの美人だった女将、今も風情のあるママ、ということなんだとわかりはじめます。
太田さんが暖簾をくぐり、「こんばんは」と言うと、「おっ、太田さん久しぶり」と大将や女将が迎えてくれます。その出だしの瞬間がまたいいんだな、あっという間に馴染の店に帰ってきたという雰囲気になり、お店から今日入った魚はこれとこれだ、こうして食べるとうまいよ!という話になります。
日本全国にこんな店を開拓している太田さん、さすが日本屈指の居酒屋の達人です。
居酒屋ばかりではありません。
岡山の回では、新幹線で到着してすぐにやはり馴染の定食屋を訪れます。
「あら~、いつ来たの~」
「今だよ!」
「ご飯は大中小、味噌汁は豚汁・ワカメ・そうめん、お茶は熱いの冷たいの~」
と、がらりと扉を開けた瞬間にあうんの呼吸の会話が始まります。
「ご飯小、味噌汁そうめん、お茶熱いの」
これで食事の注文完了!!d(^_^o)
いいですよねぇ、この絶妙な会話と弾むような文章。
というわけでまたまたあっという間に読み終えた太田さんの居酒屋本。まだ買ってあるこのシリーズがあるんですよ(*^_^*)またご紹介しますね。
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