江國香織の「やわらかなレタス」を読んだ
『やわらなかレタス/江國香織著(文春文庫)』を読みました。
読み始めてすぐに、何か共通の香りのする女性作家が幾人かいるような気がするなぁ・・と、心のどこかで感じたのですが、ははぁ・・文中に登場してきました。「テレビの番組の仕事で旅をすることになり、森絵都さん、角田光代さん、井上荒野さんと私がそれぞれヨーロッパの田舎を歩き、その土地で昔から食べられている物をたべ、「食」の周辺の人々と出会って、その様子を撮影し、さらに短編小説を書き下ろすことに・・」というのを読んで、なるほど!!と、自分の感覚に納得d(^_^o)
著者、江國さんの食物だけでなく、さまざまな事象に対する“こだわり”のようなものは、独特のもので、ある意味“面倒くさい”(^^;)感じもするのですが、それがこの本全体に漂う雰囲気を醸し出していて、つまりこの本の魅力となっているのです。
私もなんだか“くすぐられている”ような気がした部分が何箇所もあったのですが、たとえば、「昭和だったなあと思うお砂糖の時代・・・グレープフルーツをギザギザつきのスプーンですくい、たっぷりお砂糖をかけて食べるものだと思っていた。いちごにはお砂糖と牛乳をかけていちごをつぶし、牛乳をピンク色にしてからたべるものだと思っていた。遊びに行くとお砂糖の入った麦茶をだしてくれるお家もあった。お砂糖をかけないとトマトがたべられない、という友達もいた。ゆで玉子というものはお砂糖をかけて食べるものだと信じて疑ってもみなかった人がいた。」などの話には、私もそういう人や家があったときに同様に感じ、新鮮な驚きを感じました。
次にジーンと感じ入ってしまったのは・・・
「ポタージュのよさは、まず温度-温かいものはその温かさ、つめたいものはそのつめたさ-で、次に舌ざわり-なめらかにすぎない-野菜の存在がわずかにざらっとかんじられる-、そしてこっくりとまるい味わいだと思う。おいしいポタージュは、たべると全身の細胞にしみわたる感じがする。」
という部分でした。
「静かなたべものだ(たべものには静かなのと賑やかなのがある)。ポタージュは徹底的に静かで、私はそこが好きなのかものしれない。」
・・・'(*゚▽゚*)'
なんて感覚なんだっ!これを読んだだけでこの本を読んでよかったと思った。
この感覚を味わうために読んでもいい本だと思いました。
やられたなぁ・・。
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