「森本草介の世界 -1周忌に寄せて-」ホキ美術館に行ってきました
千葉市緑区にある写実画で有名な「ホキ美術館」に行ってきました。
タイトルにあるように、ホキ美術館に多く所蔵されている「森本草介」氏の1周忌(昨年の10月1日に亡くなられました)に寄せてのギャラリートーク・イベントが催され、妻と長女と三人で参加しました。
掲載写真はきょう買ってきたポストカード、森本氏の作品です。どれもこれも素晴らしい。
会場は美術館内の大きな階段に椅子がセットされ、多くの人が参加していました。
森本草介氏の奥さまがいらして、それぞれの作品の想い出と共にインタビュー形式で語られるというものでした。
最初に森本氏がまだ抽象画を描かれていた頃の1960年代の作品の写真がスクリーンに映されましたが、後に写実画に移行される前に家族で庭で全て燃してしまったお話を奥さまがされました。思わず会場ではため息が・・。
奥さまによると、森本氏は写実画を描こうとして描いていたわけではなく、自分の描きたいものを自分の描きたい色、描き方で、自分の心に忠実に描いていたら、いわゆる写実画と言われるものになったのだ、ということでした。
作品を見ているとそれがわかるような気がします。
森本氏は果物やパン(特にブドウが好きとのこと)、フランスの田舎の風景、そして女性を描いていますが、女性の衣装、身の回りにまとう布類については奥さまが調達、デザインし、ひとつの部屋が埋まってしまうほどの衣装と布が家にあるそうです。時には100年前のイギリスのアンティーク衣装を使ったこともあったそうです。
今回掲載しているポストカードの写真の左上の絵の衣装がそれで、現代の若い女性が着ても、とても似合っています。
用意して実際に使われたのは100に三つくらいとのこと。奥さまの苦労がしのばれますが、そのことをお話している様子はとても楽しそう(^-^)
果物については、葉や茎も描きたいとのことで、八百屋で買ってくるのではなく、これも奥さまが庭で育てていたのだそうです。草花も同様です。でも、先生と一緒に作品を仕上げているという感じだったのではないかと思われました。ほんとうにうれしそうに語られるのです。
今回のギャラリートークで語られた中に、あの3.11大震災時のお話もありました。
先生はちょうど散歩中で、作品は倒れ、画材等は吹っ飛び、「もしあのとき部屋にいたら大変な大けがをしていただろう」と語っていたそうです。
でも、その際にひとつの作品は穴があいて駄目になり、もうひとつの作品は倒れた際に絵の具がべったりと付き、その修復にたいへんな作業をされたことも語られました。
そして修復しているときに「未来」というタイトルを付け、復興に向けた気持ちをのせていかれたようです。珍しく女性の衣装に青みがかった色を使い、奥さまによると、それが未来への希望の色ではなかったか、とのことでした。そういわれてあらためて会場にあったその「未来」を見ると、なんだか爽やかで、決意のようなものも感じられ、涙が出てしまいました。
最後に遺作となった花を描かれた小さな絵が、お孫さんとのエピソードとともに紹介され、会場内にそれが持ち込まれ、会場をあとにするときに参加者皆に公開されました。まだ未完でサインも入っていませんが、涙が出てたいへんでした。
いったん会場を出たあと、長女から「もう一度見たい」と言われ、家族三人でもう一度見に行きました。
ほんとうに小さな作品ですが、やさしい心に包まれたものでした。よかった・・。
【Now Playing】 大人のジャズタイム / 島崎保彦 ( ラジオ日本 )
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