『酒』と作家たちの本「私の酒」を読んだ
『私の酒 ~「酒」と作家たちⅡ~/浦西和彦編(中公文庫)』という文庫オリジナルの本を読みました。
酒にまつわる作家達のエッセイを集めたもので、雑誌「酒」に寄せられた49編もの名エッセイを収録したものです。
顔ぶれも江戸川乱歩、大岡昇平、幸田文、阿川弘之、遠藤周作、星新一、北杜夫、池波正太郎、大宅壮一、小松左京、色川武大、立原正秋、瀬戸内寂聴、河盛好蔵・・まだまだお酒の強者たちが居並んでいます。
その多くが昭和三十年代のエッセイで、いやもう実に酒を飲むというよりも、酒に飲まれる人たちばかりで、それが当たり前の時代だったのだと感じました。
“飲まれ”なければ、人生、酒でつぶさなければ意味がない、(^_^;)そんな人ばっか・・。
奥さんや家族にも多大な迷惑をかけているのですが、この人達、そんなこと知ったこっちゃありません!d(^_^o)中には、一ヶ月の酒代がサラリーマンの一年分の給料分に達し、奥さんから「あとで、ちょっとこれをご覧ください、小説の足しになるかもしれませんよ」と渡されたノートは家計簿で、自分が飲んでいるその酒の量にちょっとばかり驚くのですが、それでも目覚めれば、まずビールでシャンとする・・なんて人もいて、まったく反省なんてしていません。家計は赤字、火の車ですが・・。
戦時中はエチルアルコールらしいものを怪しい店で出されて、「ええい、ままよ」と飲んでしまい、ひと晩中目がつぶれてしまうのではないかと恐怖に怯えていた作家もいました。
十五のときに、母娘は疎開したが、父と自分は都会に留まり、二人で生活をしていて、配給もままならない状況下、父親の酒を盗み飲んで飢えをしのぎ、それで酒を覚えたなんて人もおりました( ̄O ̄;)
酒にまつわる“いい話”は・・ほとんど皆無でした・・ (・_・;が、それぞれの人達が人生に酒を沁ませる昔の男(女もいたが)の生き方、あるいは身の滅ぼし方を書いていて、それはそれで非常に興味深いものでした。
毎日、酒がなければ終わらないあなた・・そう、あなたですよ。あなたのことが書いてありますよ、一回見といてね!!
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