星組・北翔海莉さん、妃海風さんのサヨナラ公演「桜花に舞え/ロマンス」見てきました
宝塚歌劇・星組東京公演『桜花に舞え -SAMURAI The FINAL-(グランステージ)/ロマンス!!(ロマンチック・レビュー)』を見てまいりましたので、その報告を。
この公演は星組トップコンビ、北翔海莉(ほくしょう・かいり)さんと、妃海風(ひなみ・ふう)さんの退団公演です。
お二人のトップ期間はとても短く、正直、もう少しやっていてほしかった・・というのが本音ですが、仕方ありません、今回チケットは一回分しか取れていませんので、本当にお二人とのお別れとなってしまいましたが、目に焼き付けようと必死に見てまいりました。
最初のミュージカル「桜花に舞え」は、明治維新の立役者の一人、桐野利秋を主役の北翔さんが演じ、彼が命を賭けて守り抜こうとしたもの、最後の侍の生き方を描いたものでした。
美城れん(みしろ・れん)さん演じる西郷隆盛はじめ、夏美よう(なつみ・よう)さんの大久保利通など歴史上の人物も登場し、維新の時代の歴史絵巻的な舞台となっていました。
これがきっと北翔さんのやりたかったものだと思いますが、非常に個人的なことで申し訳ありません、“お門違い”は百も承知で書くのですが、「この国の未来を何とかしたい」とか、そういうこの舞台で物語られる「これが侍!男の生き様見せてやる!」みたいなことにまったく心が動かないのです。
会津の武家娘を演じた妃海さんとの、戊辰戦争で最前線にあった北翔さんが妃海さんの父であり会津藩士の命を奪うこととなりながらも、自ら負傷しつつ妃海さんの命を救うという、数奇な運命と、その後の男と女の情感みたいなもの・・そちらに重きが置かれていれば、もっと心動かされたと思うのです。・・個人的なことで申し訳ない、わかっているんですよ、「何言ってんだ」と思われても仕方ないことも。
あと、気になったのが、全編“薩摩弁”っていうんでしょうか、かなりの部分がリアルに使われていて、実際に4割くらいしか台詞がわかりませんでした。たぶんこういうこと言っているんだろうなという状態で舞台を追っていたので、けっこうたいへんでした。
当時の様子を迫真の演技で進めるには、こうした方がいいという結論に達したのだと思いますが、事前に史実などを調べて行かないと、台詞だけでストーリーを追うのはつらいのでは、と感じました。
北翔さんは力の限り、いつもそうですが、トップとして、一人のタカラジェンヌとして立派な舞台を見せてくれました。
妃海さんも相手娘役らしく、トップスターを支え、もちろん卓越した歌唱力も披露して、さすが実力派トップコンビだというものを見せてくれました。
ラスト近辺では周囲のファンの方々も“くすんくすん”と、涙をぬぐっていました。
私も、いつも全力の北翔さんらしい、真っ直ぐな演技と歌唱に感動していました。最後だとは思いましたが、不思議と涙は出ませんでした。
北翔さんらしい、さわやかな印象がそうさせたのだと思います。
続いてレビューの方、「ロマンス」は、これも北翔さんがやりたかった、大好きなタイプのショーだと思います。
衣装も最近の宝塚では見ない、やわらかで、色彩も淡い印象のものを娘役が着て、ダンスも優雅でした。
実は私もこういうレビューがほんとうは好きなんです。
だから、北翔さんが宙組に居た頃の「Amourそれは」というふわっとした優雅なショーにも、最近見ないやさしいレビューだとうれしい思いをしていました。
そういう、たおやかなレビュー舞台に北翔さんの美しい歌声は映えます。
そしてもちろん妃海さんの圧倒的な歌唱力も光輝いていました。
ちょっと愉快なロックンロール・ショーみたいな部分もきっと北翔さんがリクエストしたんじゃないでしょうか。ああいう愉しい時間も北翔さんが大事にしていたことですよね。
真っ赤な衣装で、七海ひろき(ななみ・ひろき)さんと、礼真琴(れい・まこと)さんが娘役の衣装で出て来て圧倒的なダンスを見せてくれたシーンも素晴らしいと思いました。心の中になんだかうれしい興奮がこみ上げてきて、宝塚の、そして北翔さんのショーの良さをしみじみと感じました。
余談ですが、礼真琴さんの娘役、めっちゃ美人で可愛い!!この人は花組の明日海さんのように全身が宝塚的なものを身に付けているのだと思いました。
さらにドアのセットが現われ、組全体で迫力のダンスを見せてくれたシーンも星組らしいパワー感あふれるもので、最後にそのドアから北翔さんが出て行くところではちょっと涙腺がまずい状況になりましたが、こらえました(^^;)
星組はすでに次期トップスターとして、紅ゆずる(くれない・ゆずる)さんと、綺咲愛里(きさき・あいり)さんが決定していますが、お二人がダンスするシーンなども盛り込まれていて、明日の星組の様子が垣間見えました。
紅さんの今までに全くいなかったタイプのトップスターと、綺咲さんのこぼれるような美しさを持つ相手娘役、どんな星組になるのか、楽しみにしましょう。
うまく書けなくて申し訳ありませんでしたが、北翔さんと妃海さんの実力派トップコンビのラスト・ステージ見届けてきました。
短い期間でしたが、お二人ともありがとうございました。
堂々としたトップスターでした。劇場で素敵な時間を過ごせました。出来ればお二人とも、また新たなステージでお会いしたいです。
【Now Playing】 ナイツのちゃきちゃき大放送 / おぎやはぎ他 ( TBSラジオ )
« 【はっPのアナログ探訪_0118: 美少女・リオ(Lio) / Lio( LP )】 | トップページ | ラズウェル細木さんの読む“つまみ”の本、読んだ »
「宝塚」カテゴリの記事
- 宝塚歌劇を長いこと見てきたという人に会った。(2024.08.14)
- 俳句を詠んでみる_0138《宝塚俳句[ミュージカル Me & My Girl に登場した弁護士役 未沙のえる さんの名演に捧げる]》【 お屋敷の弁護士 胸に薔薇ひとつ 】(2024.06.21)
- 俳句を詠んでみる_0132《宝塚俳句[※個人的な思いで創った句です。宝塚歌劇団、元花組娘役 青柳有紀さんに捧げる]》【 緑さす とどけ ナーヴの ボーイソプラノ 】(2024.06.15)
- 俳句を詠んでみる_0126《宝塚俳句[ミュージカル、「エリザベート」で宝塚歌劇に新たな一頁を加えた一路真輝さんを詠む]》【 一路真輝 蝦蛄葉仙人掌(しゃこばさぼてん) 黄泉(よみ)の国 】(2024.06.09)
- 俳句を詠んでみる_0120《宝塚俳句》【 大晦日(おおみそか) 幻のアーニーパイル 】(2024.06.03)
« 【はっPのアナログ探訪_0118: 美少女・リオ(Lio) / Lio( LP )】 | トップページ | ラズウェル細木さんの読む“つまみ”の本、読んだ »
コメント