「三省堂国語辞典のひみつ」を読んだ
『三省堂国語辞典のひみつ/飯間浩明著(新潮文庫)』という本を読みました。
著者は国語辞典編纂者で、三省堂国語辞典の編集委員です。
私が現在主に使っている国語辞典は、同じ三省堂の「新明解国語辞典」ですが、今回この本を読んで“新明解”と“三国”と呼ばれる三省堂国語辞典のあり方っていうか、編纂の仕方が大きく異なっているということを初めて知りました。
“三国”は現代語の用例を採集するということを熱心にやり、まさに現代に使われている語を、この本にも書かれている“ストンと落ちる”形で読者に提供しているというのが最大の特徴であることがわかりました。
今までノーマークでした。
今度本屋さんに行ったら「三省堂国語辞典」、じっくり見てみようと思いました。
たとえば、「ふつう」という言葉が、今では“ほめ言葉”になっているという部分まで取り上げているのが“三国”です。
「ふつうに可愛い」とか「ふつうにおいしい」っていうのは「だれが見ても」・・という意味で現在使われています。・・私はまだ納得できないので、そんな使い方はしませんが。
世間ではめっちゃ嫌われている「させていただく」についても、著者は完全否定していません。でも、気にする人が多いので、著者自身は使わないとおっしゃっていますが。
私も、使うのがおかしいと感じるシーンもあると思いますが、完全にその使用を否定するものではありません。前後の関係から使うこともあります。
上記のような話、それから現代語の採集にあたっては、著者は図書館、テレビ、インターネットにとどまらず、実際に街に出て使われているシーンを丹念に拾っています。
さらに実証するために、物の仕組みを知ろうとライターを分解したりする著者の様子なども書かれていましたが、これもまた面白かった。
この本を読んでいて、私も言葉についてちょっと考えてみました。
いまだ私が使おうとしない言葉は以下のとおり。
〇リア充 〇はんぱない 〇カッけー 〇何気に
自分の体の中には上記の言葉はまったく染みとおっていないので使うことはありません。
たぶん今後も使わないと思います、死ぬまで。
あと、今、気になる言葉。
<印象操作>
・・・某首相が答弁のたびに相手に反論させぬように使っているようですが、こんな言葉あったかね?!
都合のいい、逃げ言葉としか“印象”に残りません。残念。
<〇〇となってございます。>
・・・国の役人が答弁のときに、「おたずねの数値は昨年度は〇〇〇となってございます。」と答えるのを頻繁に聞きます。ふだんこんな言葉の使い回しはないですよね。
これは都道府県の職員あたりにも拡がっているようですが、さすが市町村職員で使っている人を見聞きしたことはありません。
これも使うことは一生ないだろうな。
というわけで、自分が気になる言葉にまで話が拡がってしまいましたが、今回ご紹介した本もなかなか面白いですよ、ぜひ!d(^_^o)
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