「女の足指と電話機」を読んだ
『女の足指と電話機/虫明亜呂無著・高崎俊夫編(中公文庫)』を読みました。
“永遠の謎と美”の存在である女性、その生き方や感受性、美意識を映画、音楽、演劇、文芸などの作品を読み解きながら文章で解析?分析し、巧みな表現を感じさせるエッセイ集・・でした。
その文章の多くは30年以上前、古くは40年以上も前のものなります。
私の知っている女優だけではなく、全く知らない女優、映画、文芸作品、舞台も多々ある、というか知らないものの方が多すぎたのです。
でも、それでも著者の文章には惹かれるのでした。
虫明亜呂無という名は小さい頃に聞いたことがありました。
聞いたことがあるだけで、その文にはふれずにきて、今のこの歳になって初めて読んだのです。
見たこともない文体、怒濤のように書かれたものもあれば、とてもしっとりと落ち着いた文章もあり、その時々の著者の心情によりまるで別人とさえ感じる変容を感じました。
私が感じた限りでは、特に映画に対しての観察眼というか、突っ込み方は常人ならざるものがありました。まさに“本気”で自らの感覚を研ぎ澄ませ、細部に渡りその映画から受けた感覚的なものが表現されていると感じました。
また、女優という職業、生き方についても、職業・仕事として選択したものではなく、人生そのもの、人間そのものが「女優」として存在しなければならない、という信念のようなものを感じました。そういう視点からいうと、現在の女優にそんな人がはたしているのか・・などとも思いましたが、大竹しのぶや、桃井かおりなどにそんな空気を感じるなぁ、と、ふと気づきました。
国内のみならず、外国映画や文学についても鋭角的な視点が向けられていました。
それに私の好きな宝塚についても何度かふれられていて、妙な偏見のない評論をされている人だと再確認。
350頁にも及ぶものでしたが、驚きと感心の渦に巻き込まれている間に読み終えてしまいました。
現在にはない、ガチッとした評論、読み応えがありました。
【Now Playing】 Liza / Herbie Hancock & Chick Corea ( Jazz )
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