「ギョーザのような月がでた」を読んだ
『ギョーザのような月がでた/椎名誠著(文春文庫)』を読みました。
ブックオフで買ってきたのですが、初出は1996年となっていますので、椎名さんの文もまだ若い感じ。
この頃は相変わらず日本中を飛び回りつつ、原稿を書き、焚き火をして(#^.^#)、さまざまなイベントなどに出席し、あちこちで飲みまくるという内容で、椎名さん、かなりアクティブです。
書かれている文を読むと、その当時の首相は橋本龍太郎さんで、だいたい時代が想像できると思います。
時代の雰囲気がわかるのは、「唐突な連想だが、このままでいくとむこう十年もしないうちに、日本は携帯電話だらけになってしまうのではあるまいか。どこでも誰でも日本の町中一日中移動個人電話の社会になっていく、というのは考えてみるとどうもオソロシイ。」という椎名さんの懸念です。
今、・・そのとおりになっちゃいました。
そして、当時はこのエッセイの中にも書かれていますが、携帯は通話が主体です。
でも、もっとオソロシイことに、メールやライン、SNSが携帯電話の使い方の中心となり、当時の想像をはるかに超えた状態になっております。
そしてこんなに情報網が発達したにもかかわらず、人と人の心のつながりは、たぶん当時の十分の一くらいになっているのではないかと思われます。
“便利”は人と人のつながりを排除していくのです。見事に結果が出ました。そして、犯罪の温床もここにある・・。
それから、椎名さんもこの頃たぶん50代に突入していて、「せいぜい三~四人の顔ぶれで、酒くみかわしつつしっかりした話をする、というのがいい。」と言っています。今の私とまったく同じ心境。
さらに「まあ少々あやしい女と二人でのむ、というのもいい。」と書かれています。
あやしくなくてもいいけど、私も同感(^_^)
「このふたつのケースぐらいでわが人生もういいもんね、という気がする。」と結んでいますが、さらに同感!d(^_^o)
私も椎名さんの人生のあとを“なぞっている”のか、と思いました。
テンポよく次から次へと人と酒の話題中心に書かれているこの本、いつものことではありながら心の栄養になります。
【Now Playing】 Born to Be Blue / Helen Merrill ( Jazz )
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