彩風咲奈さんの「キャプテン・ネモ」見てきました
宝塚歌劇・雪組 日本青年館公演『 CAPTAIN NEMO・・ネモ船長と神秘の島・・(ミュージカル・ファンタジィ)』を見てまいりました。
旧・日本青年館は国立競技場新設の関係で取り壊され、今回は国学院高校の隣に新装なった新・日本青年館での公演です。久しぶり!
以前のように30分前からの入場でなく、1時間前にはロビーに入れてもらえたし、グッズや飲料なども購入できるようにしてくれて、これはとてもありがたい。
そして、中に入ってみると、あの日本青年館の雰囲気を感じました。
側面の壁の様子や、舞台の感じ、椅子も懐かしい感じ・・(^^;)
さて、この公演、雪組二番手となりつつある彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さん、東京での初主演です。
取り上げられたのはジュール・ヴェルヌの「海底三万里」という冒険・SF・ファンタジー?みたいに感じられた原作を下敷きにしたもので、けっこう宝塚ファンにとっては馴染のないものだったのではないかと感じました。
谷正純先生の脚本・演出で、先生の少年の頃のわくわくするような感覚を再現したものかと思われます。
前もって、この楽園のような神秘の島マトカが何故成立しているのかを知ってから見れば、ある程度の理解をしつつ見ていくことができるのですが、何の予備知識もなく見てしまうと、マトカに集まった人々のかつての苦悩(彩風さんにもそれがあるのだが、舞台上では説明はあったものの再現シーンもなく、感情移入が難しい)、マトカに移り住んでからの心の葛藤のようなものがなかなか伝わらなかったと思います。
だから、幕間でも終演後でもあちこちから聞こえてくるのが「突っ込みどころ満載だね、また見てもっと突っ込んでみたいよ(^_^)」という不思議な声が聞こえてきました。
主演の彩風さんは神秘の島マトカをリーダーとして引っ張るキャプテン・ネモをかなり苦労したのだと思いますが、汗をかき、髪を乱しながらも熱演、及第点だったと思います。
相手役となっていた彩みちる(いろどり・みちる)さんは、これはもう芝居の巧さは群を抜いているので、この説明足らずと感じるストーリーの中では満点の出来ではなかったかと思います。
一番光り輝いていたのは、当初から彩風さんと敵対していた朝美絢(あさみ・じゅん)さん演じるイギリス海軍将校ラヴロック少佐でした。
存在感があり、役の持つ人格もよくわかり、心模様の変化もうまく演じていて、満点以上の出来だったと思います。雪組に来て月組時代以上に一回り大きくなった感じ。
明日海りお(あすみ・りお)さんが初めて花組に来て戦国バサラに出て来たときにも感じた“いいじゃないの”という感覚がよみがえりました。
期待の若手、永久輝せあ(とわき・せあ)さんはロンドン・タイムズ新聞記者を演じたのですが、これは観客にとっては、ちょっとお調子者、実は・・、大きな心の動きという三回に渡るキャラクターの変化を見せなければならず、しかも長台詞が多く、早口も多いという難役でした。
まだ出来上がった感じはありませんでしたが、あの若さでさすがにうまく演じていました。
全体的には、もうひとつ神秘の島マトカに住む人たち、マトカが存在する意義みたいなものがはっきりとしていれば、なお良かったのでは、と思いました。どこか1980年代の花組「テンダー・グリーン」を思い起こさせるものがあり、当時も賛否両論あったようですが、これもそういう感じかな、と思いました。
だから帰り道での皆の会話も“突っ込みまくり”でした。
あちこちで笑いながら(・・が多かったかな)「あれはないよねぇ」などという声が聞こえていました。
私としては楽しめましたが、これから大阪・梅田芸術劇場に行くことになるので、修正なども入るのではないかと思います。
特に男役の層の厚さを感じさせる昨今の雪組、ここでも男役は充実した演技を見せてくれていましたよ。
【Now Playing】 ラジオ深夜便 / 徳田章 ( NHK-AM )
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