なぎらさんの「東京酒場漂流記」を読んだ
『東京酒場漂流記/なぎら健壱著(ちくま文庫)』を読みました。
ブックオフで108円!値段もなぎらさんぽくていいでしょd(^_^o)
この本は、いわゆる「居酒屋の名店」みたいなものの紹介ではありません。
それじゃ“なぎらさんぽく”ないものねぇ。
出てくる店は安くて、“変なもの”が出て来たり、変な客が出てくるところばかり。
そしてなぎらさんが醜態をさらす場面も多々(^_^;)
・・だからおもしろいんだよ。
なぎらさんが、友人でイラストレーターの栗山邦正氏と組んで“飲み歩き”、ほとんどが“珍道中”的な様子を文とイラストで綴ったおもしろ本なのです。
この本に出てくるお酒の基本は「酎ハイ」と「ホッピー」。
そりゃそうだろうという感じ(^^;)
おでんはもちろん関東風のつゆが濃いヤツ。
紹介される店の中には怪しく狭く、トイレは外に工事現場にあるようなのがあったりする。
先輩にあやしい店に連れていかれ、「牛トロの刺身」というものを食べさせられるが、いったい牛のどこの部位なのかも店主は教えてくれない、「うまいんだからいいんだよ」というお言葉に「ごもっとも」としぶしぶ食べるが、こりゃうまい!みたいな話もある。
下町では「焼酎の梅割」はコップに焼酎を入れた後に、少量の梅のエキスを注ぎ込むだけのもの。梅の香りのする薄茶の液体は、甘く、合成香料・合成着色料等を調合した合成シロップみたいなもの・・だという。
正当派の方が“いかがわしい”っていうのも下町らしい。
それをビールをチェイサーにして呑んでいるオヤジがいる風景、すごい。
山谷といえば、なぎらさんのようなフォークシンガーには歌に出てくるかけがえのない場所。で、行ってみると、とてもすごいところで午後も4時になると飲み屋は満員で、すでに酔いどれて歩道に寝ている作業服を着たおっちゃんもいる。
「ちょいと跨がせていただきますよ」といいながらおっちゃんを跨いで飲み屋へ、なんてシーンもありました。
真っ黒に日焼けした男共がピーナッツやら、イカのゲソの佃煮などをつまみに飲っている姿も描かれていますが、それもなにか呑兵衛のなれの果て的な光景で印象深かった。
有楽町に行くことが多い私ですが、有楽町駅改札からすぐそこのガード下に「自販機立ち飲み」というすごいジャンルの立ち飲みがあります。名前は「食安商店」!!!
ここは場所柄、作業員ぽい人たちではなく、サラリーマンなどが多いのですが、夏などはスーツのまま歩道に座り込み自販機で買った酒を片手に、さらに自販機で買った乾き物のつまみなどもやりながら、要するに「飲めりゃいい」という究極の飲み方がまかり通っているところです。
ここで飲むってことは呑兵衛の終着点なんじゃないでしょうか。・・と、いつも思ってしまうのです。
たぶん私がここで飲むことはないとは思いますが、噂では東京勤務時に、他市同業で上品で優秀なマダムがいたのですが、その彼女がここで一杯やっていたという・・。ほんものの“呑兵衛”なのか、何かつらいことがあったのか・・。
いずれにせよ、有楽町に行ったらぜひ一度、夜にここをのぞいてみていただきたい。
酒というもの、酒を飲む人について何かを感じることができるでしょう。
きょうは話がいろいろ飛んできたので、ここでおしまいっ!
【Now Playing】 きらくら / 遠藤真理・ふかわりょう ( NHK-FM )
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