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2018/01/29

宙組「不滅の棘(ふめつのとげ)」を見た

20180129_cosmos_troupe01

宝塚歌劇・宙組・日本青年館ホール公演「不滅の棘」を観劇しました。
まさに“観劇”って感じでした。

宝塚歌劇団が、チェコの作家、カレル・チャペックの戯曲「マクロプロス事件」をもとに、新たに脚本を作り、舞台化したものです。
過去に2003年、春野寿美礼(はるの・すみれ)さん主演で花組が公演しているとのことですが、私の宝塚空白期間だったため、観劇しておりませんで、今回が初観劇です。

事前に、花組の時には、白で統一された衣裳、舞台装置で行われ、独特な感覚で鮮烈な印象を残したものであったことを知りましたが、それ以上のことは予備知識を持たずに会場に行ってしまいました。

だからねぇ、前半は宝塚にはあまりない斬新な演出に「何が起こっているの?!」みたいな感じになってしまい、しかもこの公演の最終日、楽前の公演だったため、観客のほとんどが何度目かの観劇らしく、皆、次の展開を知っているのが“ありあり”で、完全に置いていかれました (・_・;

あれよ、あれよという間に一幕終了。あららぁ~、みたいな感じで「しまったぁ」と反省しきり。

その段階でやっと、コーラス・ガールが主演の愛月ひかる(あいづき・ひかる)さんの周囲で常に“コロス”みたいな感じで存在し、それこそ白一色の張り詰めた緊張感ある舞台が淡々と進行して行き、勘所では、ガ~ンと歌いまくり、この不思議な不死の主人公の“永遠の命を与えられてしまった”が故の苦しみ、人生の、愛の、価値感は?倫理観は?どうなってしまうの?という物語が展開されていたのだな、と幕間に気づいたわけです・・遅いっ!…σ(^_^;)

愛月さんの虚無的、そしてある意味投げやりな感じの生き方、振る舞いが、実に愛月さんらしい“憑依”的な演じ方でうまいっ!と思いました。

二幕に入ってからは、やっと飲み込めましたので(^_^;)、そうか、そうか、そうなんか、と見入ってしまいました。

それにしても愛月さんを筆頭に宙組の組子達はこういうクールで“芝居・芝居”した演目をうまく演じるなぁと思いました。
以前、轟悠(とどろき・ゆう)さんと、実咲凜音(みさき・りおん)さんが組んだ作品も、かなり“芝居”が主になったマニアックな作品でしたが、宙組にはこういう演目は合うようですね。
あまり、他組でこれをやるっていうのは、想像できません。

しかも、少数精鋭部隊での公演で、これだけのクオリティを出すというのは、やはり宙組の層の厚さも感じます。

ただし、こういう演目自体を宝塚でやるものなんだろうか、という疑問は最後まで私の中に残りました。
愛月さんだからうまくいったのかもしれませんが、主演によっては「なんだこりゃ」みたいになってしまうかもしれません。・・当然、歌劇団も宙組で、愛月さんでやれば見事に作り上げると踏んでのことなんでしょうけど。

雪組の人たちが多く観劇する中、二幕冒頭のちょっとアドリブ的にゆるくしてあるシーン以外は、ピーンと張り詰めたまま、しかも繊細な演技と、圧倒的な歌唱で幕が降りました。
たまにはこんな作品もいいかもしれないと、思い直しつつ、劇場を後にしました。

やはり愛月さんは他の人にない、独自の魅力を持ったスターです。


【Now Playing】 ニュース / NHK ( AMラジオ )

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