映画「ベロニカとの記憶」を見てきました
映画『ベロニカとの記憶(The Sense of an Ending)/2015年・英国 監督:リテーシュ・バトラ 出演:ジム・ブロードベント、ハリエット・ウォルター、スージー・ウェブスター、エミリー・モーティマー、ビリー・ハウル、ジョー・アルウィン、フレイア・メーバー、シャーロット・ランプリング』を見てきました。
主人公は妻と離婚し、一人暮らし。娘はシングルマザーになろうとしているところ。
ある日突然、記憶の彼方となったはずの女性から自分宛に遺品が残されているという知らせ。
その女性は自分が学生時代に付き合っていた彼女の母。一度しか会ったことのない彼女の母が亡くなり、しかも遺品はその母が持っていた自分の級友(男性、※当時自殺している)の日記・・という不可解なもの。
で、当時の彼女はその遺品を渡せないという・・。
なぜなのか、すっかり風化され、自分に都合の良いものとなった記憶を呼び戻し、また、かつての彼女との接触をはかり、謎を解いていきます。
その過程は別れた妻にも告げますが、逆に怒りを買うようなこととなり、ますます男性は居場所がない、というか、若き日の自分が犯した罪・・蘇った記憶の忌まわしさにオロオロすることになります。
自分を大きく見せようとしたり、皮肉な態度をとったり、人に対して気遣いや思いやりに欠ける失言、余計な言葉を発するなどの過去の事実に愕然とするようなこととなります。
でもね、その愚かさって、私のように長い人生を経験してきた者だったら、ほとんどの人が犯していることなんじゃないでしょうか。
特に男はね。
この物語には原作があるとのことですが、エンディングはそれとは異なるものになっているそうです。
何か、愚かなことをしてきた老いた男に、少しばかりの“救い”の光が見えて終わるのです。
現在のシーンと、過去の学生時代の甘い恋愛をしている頃の映像が交互に現われ、物語は記憶をたどるように進みますが、“ほろ苦く”、そして“甘酸っぱく”、さらにたまらなく“渋い”ような現在と過去の対比。
大人になってから見る映画です。
で、私がどう感じたかというと、この主人公にも自分は似ている、・・似ているが、今後の人生は短いが正直に、真っ直ぐに生きてみようと思いました。
あのとき、ああすればよかった、と思うことばかりの過去の人生でしたが、「いつかこうしてみよう」という年齢ではなくなりました。
「今、こうしたい。だからこうする。」そう生きていこうと。それが私に関わる人への誠意だと。
【Now Playing】 My Favorite Things / John Coltrane ( Jazz )
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