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2018/02/25

宝塚版「ドクトル・ジバゴ」を見てきました

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宝塚による文学史上の名作の舞台化、そして過去映画も制作されているので、宝塚としてどう見せるか、宝塚の“腕の見せどころ”だったと思います。

主演は専科の轟悠(とどろき・ゆう)さん。そして相手役は今回の公演は星組で構成されている中で、娘役として期待の大きい有沙瞳(ありさ・ひとみ)さんでした。

20世紀初頭、革命前後の動乱期のロシアが舞台ですが、その民衆・学生とそれらを鎮圧しようとする勢力の衝突の凄まじさと、その時代に翻弄される人々(主演の轟さん、有沙さんももちろん混乱の渦に巻き込まれる)を描いて、前半はその紛争と人々の様子、舞台上のキャラクター達が時代の波に翻弄されるストーリーが嵐のように展開されます。

そこでもう、けっこう疲れました (・_・;
それに、宝塚でこんな物語を演る必要があるのかな?なんて思ってしまったのです。
ですが・・。

休憩時間を経て、物語はかなり宝塚的な展開に。
あまりにも偶然な轟さんと有沙さんの再会。轟さんには素敵でやさしい奥さんがいて、赤ちゃんもお腹の中にいる・・というのに、雷鳴に打たれたように主演二人は愛を燃え上がらせます。
・・そこが文学作品としての名作となった由縁なのかと思うし、その直後、轟さんに降りかかる怖ろしく過酷な運命(パルチザンに捕らわれ、命の危機と共に同行を余儀なくされる)。

あまりのことに、胸が締め付けられるような気持ちになりました。
小桜ほのか(こざくら・ほのか)さん演じる轟さんのやさしくて可愛い奥さんと、一方でそれをわかっていながらどうしようもない轟さんと有沙さんのならぬ恋・・。迫真の演技にうなりました。

今回、物語のキーとなる悪役を演じた天寿光希(てんじゅ・みつき)さんには感服いたしました。
もう、その役柄そのものにしか見えない。しかも、ただの悪役ではなく、何か奥深いものを秘めている存在。こんなに深く役どころを掘り下げた演技は、かつてこの宝塚でも見たことがないくらい。
素晴らしかった。最高です。

また有沙さんとの恋と、革命の間で大きく揺れ動く役を演じた瀬央ゆりあ(せお・ゆりあ)さんも渾身の演技を見せてくれました。自身もひとつ何かを乗り越えたようなものを掴んだのではないでしょうか。

そして、全体に感じたことですが、轟さんを中心としてまとまったこの星組の公演は、最近ちょっと“緩い”と感じていた組が一変していたように思います。
ピーンと張り詰めた中、それぞれが力のこもったいい演技をしていたと思います。大拍手です。

主演、轟さんはこの難役をベテランらしい経験を生かした厚く深い演技で作り上げ、さすがだと思いました。
有沙さんは、どちらかというと“濃い”女の役が今まで多かったと思いますが、今回は芯の強さはありつつも、薄幸で、ある意味やさしい女性、しかも可愛さも目立ち、演技の懐の深さを感じました。この人は“役者”です。

舞台装置もステージ中心にセットを置き、周囲を映像にしたりする独特なものが(メイちゃんの執事で見たような気がする)効果を出し、宝塚歌劇団としてもアグレッシブな取り組みを感じました。
宝塚は常に“攻め”の姿勢ですね。そこがいい!

行く前には、ちょっと不安だったこの作品。
大きく心動かされる、そしてあらためて宝塚の奥深さ、良さを感じることができた作品でした。よかった。


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