花組「ポーの一族」を観劇しました。
宝塚歌劇・花組東京公演『ポーの一族(ゴシック・ロマン)』を既に観劇しておりましたので、その感想を。
1970年代に少女漫画史上の傑作であった萩尾望都さんの「ポーの一族」が宝塚歌劇にて初めて舞台化されました。
歌劇団を代表する座付き作家の小池修一郎氏はこの作品を舞台化したいがために宝塚に入ったと言われ、1985年に初めて萩尾氏に劇化の依頼をしてから、ずっと断わられてきた舞台化が今回ついに了承されました!
永遠に歳を取らずに生きながらえていく“バンパネラ”ポーの一族とその一族に加わったエドガー[明日海りお/あすみ・りお]が、アラン[柚香光/ゆずか・れい]、メリーベル[華優希/はな・ゆうき]を仲間に加え、時空を超えた旅を続ける物語です。
寂しく、怖く、美しい物語でした。
主演の明日海さんはエドガーという永遠の時を生きることになった少年を演じましたが、まるでエドガーそのものという印象でした。
一本芯が通ってはいるが、普通の少年であったエドガーは巡り合わせでバンパネラのポー一族に加わることとなり、苦悩と、その運命に抗いつつも自らの人生として受け容れざるを得ない、そしてこの世のものとは思えない不思議な存在感を丁寧に、そして深く、静かに、あるときは感情を露わに・・見事に演じていました。
またひとつ明日海さんは金字塔のようなものを打ち立てたんだな、と感じました。
相手娘役の仙名彩世(せんな・あやせ)さんは、シーラ・ポーツネル男爵夫人を演じて、これもこの世のものとは思えない存在感と美しさ、強く生きるが、女の脆さなどもうまく演じて、他組のトップ娘役とはひと味ちがうところを見せつけました。
芹香斗亜(せりか・とあ)さんが宙組に組替えとなり、二番手の位置にきた柚香光さんは、アランを演じ、これまたバンパネラと現世の人々との狭間で苦しむ役どころを見事に演じ切りました。心配だった歌もたいへん良くなっていたと思います。
エドガーとアランの並びは“美し過ぎる”!!
明日海さんの妹・メリーベルを演じた華優希さんも非常に演技巧みで、さらに舞台上の“華”を感じさせました。
アランの従姉妹・マーゴットを演じた城妃美伶(しろき・みれい)さんは、かつての日の出の勢いからみると、かなり“割を食った”役に感じました。華さんと比較してしまうと、ちょっと気の毒にも感じましたが、いやいやまだまだ逆転もあるのかもしれません。
もちろん、医師・ジャン・クリフォードを演じた鳳月杏(ほうづき・あん)さんや二役を演じた水美舞斗(みなみ・まいと)さんも素晴らしい男役としての存在感と演技を見せてくれました。この二人がいること自体が非常に贅沢な感じ(^-^)/☆うっとりしちゃいますよ。
フランク・ポーツネル男爵の瀬戸かずや(せと・かずや)さん、鳳月さんの婚約者・ジェインを演じた桜咲彩花(おうさき・あやか)さん、そして先に書いた仙名彩世さんの三人は、花組の中にあって、この物語をしっかりと方向付けてゆるぎない演目にしていると思いました。
それぞれが実にどっしりと、しかもしっかりと役づくりをしていて、花組を見ているときの“安心感”のようなものはこの三方の存在あってこそのものだと、あらためて感じました。
舞台装置も衣裳も抜群の出来、明日海さん以下花組のレベルはどんどん上昇しているとヒシヒシと感じました。
おまけのショーもすごかった。
男役群舞、トップ二人のデュエットダンス、どれをとってもあまりの格好良さに体中がシビれるような感覚でした。素晴らしいっ!!
満点の花組公演でした。文句なしです。
【Now Playing】 Softly As In A Morning Sunrise / Sonny Clark Trio ( Jazz )
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