月組・月城かなとさんの「ザ・ラスト・パーティー」見てきた
宝塚歌劇・月組日本青年館公演「Musical THE LAST PARTY」を見てきました。
主演は雪組から組替えで月組配属となり、すっかり月組のスターになってきた月城かなと(つきしろ・かなと)さん。
相手娘役は月組では芝居巧者の海乃美月(うみの・みつき)さん。
お二人とも洋風な“濃い”ルックスなので、今回のフィッツジェラルドのような1920年代のアメリカが舞台のお話にはぴったりだと思いました。
時代は「ジャズエイジ」とも言える1920年代からフィッツジェラルドが亡くなる1940年までのお話で、彼の代表作「華麗なるギャツビー」がアメリカ文学に偉大な足跡を残した栄光と、その後の時代の寵児からの栄光が過去のものとなり、経済的にも社会的にも不遇になっていくところを描いたものでした。
月城さん演じるフィッツジェラルドは、貧しい家庭に育ったというコンプレックスがあり、さらにそこから湧き出た大いなる野心、妻(海乃さん演ずるゼルダ)への愛と、妻が精神的に病んでしまってからの苦悩、友人であるが、フィッツジェラルドの文学作品に厳しい評価と叱咤をあたえるヘミングウェイ(役:暁千星/あかつき・ちせい)との葛藤と確執・・、なかなかに“濃い”物語でした。
過去、宙組の大和悠河(やまと・ゆうが)さん、当時月組の大空祐飛(おおぞら・ゆうひ)さんにより二組連続上演という形で公演された植田景子先生の作品なのだそうです。
過去のお二人を見ても、月城さんが演ることには何か必然のようなものさえ感じます。
で、月城さんと海乃さん、バチーンっとはまってましたよ!ヽ(=´▽`=)ノ
絵に描いたようなオールド・アメリカンな世界の中で、お二人と月組の精鋭部隊がフィッツジェラルドの最期までをたどる「ラスト・パーティー」、ガツンときましたd(^_^o)
もともと月組はこういうシチュエーションは得意な感じがします。
だからみな、生き生きと演じ、前半は月城さんがうなぎ登りで頂点にたどり着き、海乃さんという妻も得た・・でも、そこには・・何も無かった・・みたいな荒廃した心模様までが描かれ、見ているこちらはちょっと辛い感じだったのです。
で、後半に入り、どん底状態の月城・フィッツジェラルドのもがき苦しむ様子。そして、わずかながら光が射してくる様子、心にジーンと響きました。
後半、お芝居が始まってすぐに、月城さんの秘書となった“なっちゃん”(夏月都/かげつ・みやこ さん)(*^_^*)、この人の芝居力をあなどってはいけない、なっちゃんと月城さんのシーンから、今まで5速100キロで走っていたような舞台が、3速110キロで走り出したクルマのようにガツン・ガツンとシフト・ダウンをかまし、俄然舞台が盛り上がり、急展開となります。
そこに現われたヘミングウェイの暁さんが、一気に2速にさらにシフト・ダウンし、ホイルスピンさせながらの急加速!月城フィッツジェラルドと“魂”のバトルとなり、物語は佳境に入りました。
そこからは、組全体がこのラスト・パーティーという舞台を力強く観客に見せてくれたのでした。
ラストに向けて、フィッツジェラルドの死が近づくにつれ、胸の奥底から何かが湧き上がってきました。
人の一生って、そして妻との愛って、また残された子供のこと、周囲で関わってくれた人たち・・そんなことが頭の中を、胸の中を狂おしく駆けめぐったのでした。
さすが植田景子先生の作品、これまた人生の光と影をうまく描かれていました。
終演後も余韻が残りましたねぇ・・。
力作でした。
【Now Playing】 Real Gone Made In Manifest In The Vortex Of The Eternal Now / YOUTH ( Instrumental )
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