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2018/12/10

宝塚歌劇 専科・花組公演「蘭陵王」を観劇してきました

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宝塚歌劇 専科・花組 神奈川芸術劇場公演『蘭陵王 -美しかったが、悪いか・・美しすぎる武将-(ロマンス)』を観劇してまいりました。
ちょっと遅れましたが、感想を。

主演は専科の凪七瑠海(なぎな・るうみ)さん。相手娘役は、音くり寿(おと・くりす)さん。
重要な役どころの高緯は瀬戸かずや(せと・かずや)さんが演じました。

全体を見渡して感じたことは、この作品は演じ方によっては駄作になってしまうかもしれないし、深く掘り下げ、練っていけばいくほど魅力ある作品になるだろう、ということでした。
また、個々にそれぞれの役をいかようにも作り上げられるのではないか、とも思いました。

なので、たぶん初日に近い公演を観た人と、千秋楽間近に見た人(私も)では大きく感想が異なるかもしれません。
しかも、観客にもこの物語をどう読み取るか、という“鑑賞力”というか、自分の人生観やこれまでの経験なども踏まえながら、見ていかなければならないような、そんなものが求められます。
ということで、実に味わい深い作品だと思ったのです。

凪七さんはじめ、花組の精鋭達(若手中心だが、とても頑張っていた・・それが伝わってきた)も、毎日演じていく中で、お客さんの反応を見ながら、きっと良い経験を積んだのではないかと思います。

凪七さんの蘭陵王は、今までの宝塚の主演キャラクターとしては珍しく、目も覚めるような美しさを持ちながら、ある意味生きて行く術として、とても残酷な一面を持ち、でも一本気で、若い頃(幼少期)には、“すみれコード”ぎりぎりの男ながら大人の男の性のなぐさみものになったりもしていて、“ひとすじなわ”で演じきることのできる役どころではありません。

凪七さんも苦労されたと思いますが、私の見た回では、凪七さん、“凪七流”の蘭陵王のイメージを見事に作り上げていたと思います。
以前から気になっていた台詞回しと、歌唱の時の独特な“口の中で回してしまう”ようなところもほとんど改善されていて、聞き易く、小さな頃からやがて青年となり、風格と殺気のようなものを漂わせるようになるまでを上手く演じていました。とても良かった。

相手役、音くり寿さんも実力ある娘役らしく、なんでもないように軽々と演じているように見えましたが、でもこれは「いい投手が軽々としたフォームで投げているように見えて、実は快速球を投げている」・・そんな感じでした。
力んでいないのに、演技は深く内容があり、しかも歌唱の方も絶妙でした。こちらも文句なしです。

瀬戸さんは、なんと驚きの“おねえキャラ”だったのですが、観客の笑いも取り、実力で乗り切った感がありました。
でも、僭越ですが、私が思うには男らしく凪七さんと渡り合っていて、あるとき「あれ・・ひょっとしてこの人・・おねえ入ってる?」みたいに観客に見えた方が物語り的にも深さが増したかも、などと思いました。脚本がこうだから仕方ないけど、作者には何か大きな意図があったのでしょう。

その他専科の京三沙(きょう・みさ)さん、悠真倫(ゆうま・りん)さんは納得の舞台。

澄月菜音(すみづき・なおと)さん、帆純まひろ(ほずみ・まひろ)さんら若手もいい役をもらい、生き生きと、しかも堂々と演技されていて、私はとても驚きました。若手の方達も皆素晴らしかった。

この物語を6世紀の中国に実在した人物の武勇と伝説として捉え、歴史ロマンとして楽しむのもいいのですが、最後に凪七さんが「毒酒」を賜ることになり(毒酒を飲むことを命じられ、それを飲めば一族の罪などは全て無きことになる、名誉なことということになっている)、寸前まで飲もうとしていたのに、振り払い、開き直り、自分の考えで生きて行こうと中央突破して今までのものを全て捨て、自分らしく、そして好きな女性を愛することに気づくシーンがありました。それを現代に生きる人になぞらえつつ考えてみるのも、ひとつの見方だと思いました。

考えてみれば、私も長い間仕事をしてきた中で「毒酒」を飲めと言われ、飲まされたことは10回ではきかないかもしれません。その度に自分というものが破壊され、自分だけでなく、家族に、人生に大きな禍根を残して来ました。
この物語をもっと早く見ていたら、もうちょっと違った人生を歩めたかもしれない、などと思ったのです。・・遅いっ!…σ(^_^;)


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二枚目の写真以降は、観劇後、中華街に繰り出し、土産物屋さんの店頭で見つけた「蘭陵王」みたいな人形。


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あれれ、入っていた木のケースにチラシが貼り付けてある・・。


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おおっ、凪七さんがサインしているではありませんか!ヽ(=´▽`=)ノ
いいねぇ、粋だねぇ、凪七さん。
観劇後も楽しくて良い気持ちになりました(#^.^#)

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