旅の窓・沢木耕太郎を読んだ
『旅の窓/沢木耕太郎 文・写真(幻冬舎文庫)』を読みました(見ました)。
これは著者の沢木さんが世界のいろいろな国を旅しているときにフィルムを使って写真撮影したものに、その時々のキャプションを加えて本にしたものです。
カメラマンでなくとも誰が撮った写真でも興味を持ってしまう私。
で、この本に載っている沢木さんの写真は独自の視点で撮られていて、とても惹かれるものでした。
旅の途中で、その街で出会った人にふと感じた何かを、その瞬間に撮ったもの。
なぜか広大で雄大な景色を撮った写真の端っこにぽつんと小さぁ~く人が写っている作品が多いのも、偶然が重なったのかもしれませんが(ご本人もそう書いている)、とても印象的で素敵なものになっています。
子供や、家族、一人で物思いに耽る人、などの写真も魅力あるものになっていました。
もちろん文章は風景や街、人々の様々な様子などについて優しい視線で書かれたものでした。
その中でちょっと私が気になったエピソード。
「旅をなぞってはいけない。それがこの何十年かの旅で得た教訓のひとつである。」
というもの。
著者が若い頃の旅の記憶を求めてスペインのマラガというところに再訪したが、かつての宝石のような空間だった所が、二十年も経ってすっかり変わってしまって・・というお話でした。
「私はやはり失望しないわけにはいかなかった。」と、書かれていますが、私にも似たような経験があります。
でも、時には最初の探訪からの年月の良い変化を感じて涙してしまうこともあります。
「旅のなぞり」は多くは失望となり、時には感動を呼ぶことも・・。面白いエピソードでした。
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