雪組・プレミアム・チケット化している「ファントム」見てきました
宝塚歌劇・雪組東京公演「ファントム(Phantom)」を見てきました。チケット入手は困難を極め、高い料金で無理やり二階席を買い、その後ゆずっていただける方があり、一階席でも結局見ることができました。都合二回。
ファントムは、宝塚歌劇が大事にしている演目の強力な作品ですが、トップスターが“唄えない”と、成り立たないような「歌」の演目でもあります。
だから、トップスターの望海風斗(のぞみ・ふうと)さんが最もやりたかった演目でもあったのだと思います。
二回目に見た農協観光貸切公演では、開演前の組長挨拶で、梨花ますみ(りか・ますみ)組長が「歌唱力でも評判を呼んでいる公演でもあります」と自信を持って力強くお話されていました。結果もまさにそのとおりとなっておりました。
そして望海さんが、わざわざ相手役として真彩希帆(まあや・きほ)さんを星組から呼んだのも、もちろんこの演目のためだったんじゃないでしょうか。真彩さんも全身で歌い上げていました。
トップお二人とも歌で観客を魅了していた感がありました。
しかし、私が見た公演の一回目は、なんだか雪組全体が「望海さん、願いがかなって良かった」みたいな空気が舞台全体に流れ、望海さん自身も割と“まとまってしまった”ような演技を見せていました。
また、真彩さんも前半、歌が少し乱れていたように感じました。後半も盛り返すまでには至りませんでした。
長い公演の中には一日くらいそんな日もあったのかもしれません。
私が見た一回目の公演で、舞台を正気に戻していたのは、カルロッタ役の舞咲りん(まいさき・りん)さんと、役替わりでシャンドン伯爵を演じた朝美絢(あさみ・じゅん)さんだったように思います。役を自分のものにし、周囲の雰囲気に引っ張られることなく、力強く演じていました。
キャリエール役の彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さんも、「望海さん、よかった、よかった」みたいな“ほっこり”した雰囲気を感じさせていました。
その日は何かあったのかもしれないですね。
で、二回目の農協観光貸切公演は、初めて宝塚を見るおじいちゃんとおばあちゃんばかり、という私が初めて経験する劇場の雰囲気となっておりました。
開演しても、次から次へと遠慮なく何十人とトイレに出て、劇場係員も大変だったでしょう。
しかし、ストーリーが進むにつれ、拍手のタイミングさえわからなかった観客も、そのスリリングな展開と、舞咲さんがぐんぐん引っ張って行く様子に、「おおっ」とか、「あらぁ~」とか、反応がすごく、飲み込まれるように舞台に集中していくのがわかりました。
この日は、雪組は“ほっこり”気分もなく、望海さん、真彩さん、彩風さんら中心人物達がリードして、攻めまくるステージに変貌していました。これほど変わるのか、と思ったくらい。
観客もラストの怒濤の展開に息を呑み、それにつられて望海さん、真彩さんも全開で飛ばすように歌いまくりました。
望海さんのファントム、独自のものを作り上げていました。真彩さんも苦労しつつ、クリスティーヌを完成の域に近づけていたのを感じました。
オマケのショーに突入すると(このショーも最高によかった)、農協観光様ご一行は、東京宝塚劇場ではたいへん珍しい“歓声”をあげ、ステージ中央「0」番に立つトップスター・望海風斗さんに手を振り、怒濤の盛り上がりとなり、望海さんも大階段を降りてきたときに、いつもとちがう様子にびっくりして、なんだかタイミングを微妙にずらしてしまったりの、ある意味ハプニング的な様相を呈しました。
そうそう、望海さんが羽を背負って大階段に現われたときの客席の“どよめき”と“歓声”には私も驚きました。
「楽しんでるじゃん、じいちゃん、ばあちゃんヽ(=´▽`=)ノよかったねぇ」
貸切公演ということで、望海さんが終演後に挨拶され、「農協観光」という言葉が望海さんから出ただけでもう“バカウケ”状態。
望海さん、貸切ってくれたところを間違えてしまったのかと、あわてていましたが、いやもう“箸が転んでも可笑しい”状態になっている農協観光ご一行様、存分に楽しまれていたようです。なによりです(*^_^*)
というわけで、「ファントム」は、ちょっと低調気味な公演日と、貸切公演でいつもとちがう雰囲気の公演での絶好調ぶりのふたつの状態を味わうことができました。
やっぱ「ファントム」はイイわっ!!'(*゚▽゚*)'
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