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2019/04/25

「生きるかなしみ/山田太一・編」を読みました

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『生きるかなしみ/山田太一・編(ちくま文庫)』を読みました。
これもブックオフで108円で手に入れたものですが、中身は濃かった。

ドラマライターである編者の山田太一さんにより、柳田国男・永井荷風・佐藤愛子・円地文子・五味康祐ら先人達が「人生のかなしみ」にふれ、真摯にそれと直面し、それぞれがそれぞれに人生の幅を感じさせながら生きて行く様子を編んだものでした。

生半可な気持ちでは読めない、厳しい内容のものが次々と出てきて、読んでいる私も身の引き締まる思いでした。

つい先日、私も病に倒れ、様々なことを考えました。
まさに病や老いは自分にとって急に悪魔のように襲い掛かってくるものだと実感することになりましたが、そんなことだけでなく、ほんの些細なことや、自分がさまざまな事物に対して愛するがゆえの「かなしさ」もあるのだな、と感じることもありました。

そして人は誰もが、心の底にいろいろな種類の「かなしみ」を抱きつつ生きているのだ、と、しみじみ感じたのでした。

石原吉郎氏の「望郷と海」を取り上げたところでは、ハルビンでソ連に抑留されシベリアに送られ、重労働二十五年の最高刑を受けたが、スターリン死去に伴う特赦により帰国、その後強制収容所体験を主題にした作品を刊行した氏の文に、あまりの「かなしみ」にいても立ってもいられない、そんな気持ちになりました。

水上勉さんの「親子の絆についての断想」では、幼き頃のあまりに貧困な家庭、家族の中での自分と親の関係ついて実にリアルな描写で書かれた文が取り上げられていました。
これも気絶するほどのインパクトがありました。
人がもつ「かなしみ」の苛烈さ、奥深さには衝撃を受けるだけでなく、何か不思議な力強ささえ感じました。
そんな過酷な中でも人は何か考え、何か光のようなものを見ている。
人間が生きて行くということの本質のようなものも垣間見えたような気もいたしました。

最終的には勇気づけられるような感覚になったこの本。
人生の岐路、あるいは思わず立ち止まってしまったような時に指針にもなるようなものだ、と感じました。

 

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